別れの時(62/64)


沢田少年と一緒に入江君の装置がある所に行こうとしたらXANXUSに襟首掴まれて拉致られた。いや、俺も話っつーか渡すもんあったから別によか……ない、な。そういえば俺覚悟しとけとか言われてたな。おっと濃厚な死亡フラグの香りが………。

「…………おい」

「あ、そうそうボスに渡すものがあったんだよね!はい」

渡したのはこっちに来たばかりの時にもらった小さな巾着。中はまぁ、この時代の必須アイテムなあれとかそれとか。ついでに俺宛の手紙もぶちこんだ。

「……………………」

「それね、パクっちゃおうかな、とも思ったんだけどやっぱ俺のじゃないからさ。こっちの俺に渡しといてよ」

正直めぇこと別れるのは非常に惜しい。だけど俺がめぇこ連れてくとこの時代の俺が涙目だろ?それにめぇこには近いうちに会えると思うし。あとヴァリアーステッキとグローブくらいかな、俺が借りてたのは。

「………さっきのは何だ」

「さっきのあれはこっちの俺に聞いて。あいつも使えるから」

説明2度手間とか正直嫌だし、つかバサラについて言う=前世洗いざらいみたいな感じだろ?そいつは勘弁。

「……………………」

「え?ちょ、何?」

途端、XANXUSに肩をガッチリ掴まれる。やばい、何か嫌な予感する!でもほどけないんだけど!!握力イカれてんのかこいつ!


ガツン!!!


「っ!い、……………てぇ…………!!」

振り上げたXANXUSの拳が俺の頭頂部にヒットした。すごく、痛い。これ絶対脳細胞死んでるだろ…………。

「ハッ!覚悟しろと、言った筈だ」

「そりゃ言われたけどさぁ………」

まぁ、撃たれなかっただけマシ………なのか?よし、そういうことにしとこう。そろそろ行った方がいいと思うし、お別れか。

「それじゃあ、ボス。こっちの俺によろしくね。あんまりいじめないでよ?泣いちゃうから」

「存分に泣け」

「え、何でそんなイイ笑顔なの?…じゃ、機会があればまた今度」

はいXANXUSの笑顔いただきましたー………じゃなくて人と話す時は目ぇ見ろよ!当のXANXUSはと言えば既に俺から背を向けて去っていった。何これお前の話は聞きません、の意思表示な訳?………まぁ、いいや。この時代のXANXUSと関わるなんてもうこれっきりだろうし。………頑張れ、10年後の俺。






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