大空集結(58/64)
沢田少年に裸絞を決める白蘭へありったけの殺気をプレゼント、そして手にしていた酒瓶を奴の頭上目掛けて降り下ろせばやはり狙い通り距離を取った。よし、これで沢田少年の無事は一応確保出来ただろ。ついでに当面の危機は乗り越えたからお守り持ってる奴等の結界を解除しとくか。
「へぇ、ここで君が来るんだ♪」
「だから、何だ?」
「いいや?別に。でもおかしいなぁ、君はこの中で1番ガス欠だったよね」
「その1番ガス欠だった俺が回復してちゃ変か?答えは求めてねーけど」
俺が回復した理由は手にした空の酒瓶にある。ちなみにこれの本当の持ち主は俺じゃなくて10年後の俺。使えそうと思ったから持ってきてたけど、予想以上の効果を発揮してくれた。中身はあれ、ゲーム風に言えば恵比寿樽中くらいの効力かな。まぁ中サイズなんて無いんだけどさ。未プレイの人はなんかごめん。KHで言えばハイポーションくらいか。
「うーん、さっき君がやってたあれと関係あるのかな?」
「打てば響くとでも思ってんのか?」
「アハハ、君はそういう人間なんだね。綱吉君もそうだけど、僕はまた元気な君にも会いたかったんだよ」
「俺はてめぇになんざ欠片も会いたくなかったがな」
ユニちゃんの話によれば俺は白蘭に知られること無く死んだ、って感じだったけど。チョイスの時と言い、今と言い、こいつは俺に対面済のような口振りで。そして何より元気な♂エ、か。要するに、だ。
「俺を看取ったのがお前とか、知らない方が幸せだったなぁ………」
「確かに僕は君の死に立ち合った……平行世界でね。だけどもっと前にこの世界でも会ってるんだよ?」
「俺は知らん」
「だろうね、もう少し先の出来事だから。それにしても驚いたなー、あの時会った君がまさか僕がずーっと探してた人間だとは思わなかったよ。どの平行世界でもミルフィオーレかき回すだけかき回して死んじゃった君が、ね」
「!!?」
「なっ!?」
「!!」
「マジかよ…」
この野郎、わざわざ勘違いするようなタイミングで余計なこと言ってんじゃねーよ!しかしもっと前に会ったことあったのか、どうでもいいけど。つか何で俺こいつと会ったの?
「別に俺はこいつに殺された訳じゃない。有り体に言えば、力尽きただけだ」
実際さっきその一歩手前な感じだったし、それは間違いないだろう。だけど………あぁ、ユニちゃん探してたんだな、こいつ。そしたら俺が居たとかそういう展開か。
「それにしても、もう少しいい勝負になると思ったんだけどつまんないなあ。綱吉君、君のみんなを過去に帰そうとする覚悟はこんなものかい?」
「!」
「挑発に乗るな、沢田少年」
しかし俺の言葉を無視して沢田少年は炎圧を上げた。そして呼応するように白蘭も上げる。お前等、側に立ってる俺のことを考えろ。暑い上に熱い、結界の無駄遣いじゃね?まぁそうしないと火傷しそうだから使うけど………って、何これ。沢田少年と白蘭の放出する炎の形状が変わった。つーかこれ結界…………まさか、
「ユニ!!?」
「自ら白蘭に接近するとはあの娘、何を考えとるんだ!!」
うわ、ユニちゃん来ちゃったよ………てかこれ、白蘭と沢田少年が出す結界の中にいる俺ってどう考えても巻き込まれフラグ立ってるよね。あれ、回避しようがなくね?
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