6.いつも別れを見つめて





”もう10月だし、まだ暑いからっていっても水かけられたんだから放置するなよ”

そう言って私を寮まで送ってくれた福井さん。

話したこともない後輩にここまでしてくれるだなんて、凄くいい人だ。


...私とは大違い。









ボーっとした頭で考えることはやっぱり氷室くんの事。


私は氷室くんの隣にいてまだ邪魔になってないかな?

私のこといらなくなったら、氷室くんは一体どうするんだろう。



”お別れ”するなら、どうするんだろう。


















気がついたら寝てしまっていたみたいでもう時刻は午後6時、

着信2件、新着メール7件。


着信はクラスの友達と劉くん。
新着メールは友達、友達、劉くん、劉くん、劉くん、劉くん。


...明日は劉くんのお説教コースだなぁ。



残りの1件は、


「...氷室くんからだ」



”劉から聞いたよ、早退したんだって?
大丈夫?何か必要な物とかあったら言ってくれたら持って行くよ。”



「....氷室くんは優しいなぁ」


そんな事言われたら、
私は”ニセモノ彼女”なのにもっと君の事が好きになっちゃうよ。

君を好きになって辛いのは私なのになぁ。


「ほっんとうに、好きっ、なんだよ」



いつか訪れてしまう最後の時には、
笑ってお別れが言えるようにするからさ。

そのために今だけは泣くことを許してね。



明日にはまた、”何も知らない氷室くんの彼女”に戻るからね。





”メールありがとう!
早退っていっても対した理由じゃないよー!(笑)
全然大丈夫!部活頑張ってね!”







こうやって私はまた”フツウ”を演じるために嘘つき笑顔が上手くなっていくんだ。


prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -