4.終わりの日まで愛して







名字さんに告白した。
きっとOKを貰えると思ってたけれど、実際に了承されたときに、安堵と後悔の混ざった溜息がでて名字さんにばれない程度に苦笑いした。






朝、劉に会った時に睨まれた。

正直、睨まれるだけで終わったのは驚いた。殴られる覚悟くらいはしてたんだけど...。






「氷室。」

「なんだい?劉」

「名字を幸せにしろ、は言いたいがそこまでは求めないアル。せめて責任を持って名字を泣かせる事は許さないアル。」

「...劉は優しいなぁ」

「名字は大事な友達アル。
けどお前も大事なチームメイトアル。」

けど泣かせたり傷つけたらすぐ殴るアルからな。


劉は俺が名字さんと付き合う理由を分かって言ってるのだろう。

しかし劉は俺のこの行動に少しだけ、いや大分か、
目をつぶってくれているみたいだ。

だからせめて名字さんに俺の事を知られて傷つけることだけはするなよ、と。














「氷室くーん!今日お弁当作ってきたんだけど、一緒に食べない?」

あぁ香水臭い。気持ち悪い。

「すみません、先輩。俺、彼女と食べるんで。」

だからはやくどっか行け。

「え、ひ、氷室くん彼女いたっけ?」

「はい、昨日。だから先輩には申し訳ないのですが気持ちだけ受け取っておきます。」

目に見えて狼狽えるセンパイ。どうせアンタの所にも噂は回ってるんだろう。

「あの噂、本当だったんだ」

「はい。」

なにか一言小さく呟いて去って行くセンパイ。
やっとあの人から解放されるのか。

転入して1週間くらいのころからずっと付きまとわれていて、福井さんに頼んでみても何を言ってもキツイ香水つけて俺の所へやってきていた。

正直、少し、かなり迷惑だったしストレスだったんだ。





俺は俺のしたことは最低だと思ってる。
けど俺は間違ったことをしているとは思ってない。












「名字さんは俺のことどう思う?」

つい聞いてしまった一言。
名字さんは俺が何の事言ってるかさっぱりなはずだ。
それなのに
彼女はきょとんとした後に答えた。
”氷室くん?私の大好きな人だよ”


まるで当たり前かのように、
息するのと同然に彼女は言いはなった。




俺は間違った事はしてないと自分に言い聞かせながら
”ありがとう”
といつもの顔で言ったんだ。


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