2.またひとりで空回り






「おはよう、名字さん。じゃあ行こうか」

「おっおはよう!ひ、ひ、氷室くん!あの!てっ手!」

「恋人なんだからおかしくないよね?それとも名字さん嫌だった?」

「いやって言うか...あの....嫌じゃないです」

しいて言えば周りの視線が痛いです。





昨日、突然の氷室くんからの告白で恋人同士になった私達。




ーねぇ、あの子?昨日氷室くんが告白したっていう...

ーは?別に可愛くなくない?しいて言うならフツー。

ーえー、私氷室くんが超絶ブサイクに告白したって聞いたんだけど!

ーなんであの子が...?



みんな好き勝手に言うのがよく聞こえる。

氷室くんが告白してきたのは2年生の教室がある廊下。
つまりみんなが見てるなか、
しかも告白した人が氷室くんときた。
だから昨日のことが広まってないわけないのですが...。


その当の本人は私の手を握って堂々と真ん中を突き進んでいる。
氷室くん、すごい。



「氷室!!」

「劉、おはよう」

「...名字?」

「り、劉くんおはよう」

氷室くんと同じバスケ部で、
私のクラスメイトである劉 偉くん。

「...名字と付き合ったっていうのは本当だったアルか。」

「あぁ、昨日からお付き合いさせてもらってるよ」

「...氷室、」

劉くんは眉間に皺をよせて氷室くんを見ている。

「...大丈夫だよ」

氷室くんがそう静かに答えると、
数秒の間沈黙が流れる。
すると劉くんはわざとらしく溜息をした後、私の方を見る。


「名字。何かあったら俺に言うアルよ」

「何かって?」

「何か、は何かアル」

じゃあ先に体育館に言ってるアルよ。



氷室くんの方を見ずに去っていく劉くん。


「劉くん、普段はあんなこと言わないのに。どうしたんだろうね?」

本当に普段はあんな意味深な発言はしない。
どっちかって言うと、部活で先輩に騙された事を実行してバ可愛い発言をしてるというのに。


「....名字さんは俺の事、好き?」

氷室くんがかなしそうに聞くから、

私は笑顔で「大好きだよ」と答えるしか出来なかった。






なんで君は悲しいそうな、哀しそうな、愛しそうな顔をして言うの?

私は君のことが大好きなんだけどなぁ。

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