1.この恋止められない









「名字さん、俺と付き合ってくれないかな?」













2年生にしてバスケ部Wエースである氷室くん。
彼は廊下のど真ん中で突然私にそう言ってきた。



”付き合ってくれないかな”?



私たち、話したことあったっけ?

それとも、私の密かな想いがバレた?

けどバレたところで氷室くんを好きな女子なんて私以外にもたくさんいるはずだ。


バスケ部でイケメンな転入生である彼に名前を知られてるだけでも驚いているというのに、
どうして私なのだろうか。



沢山考えて、頭が混乱した挙句私が言えた言葉は


「はい、」

その一言だった。
















”ありがとう、承諾してくれて。
俺は今から部活だから、これ。俺のアドレス。登録してもらえる?”


彼はそう言ってその場を去ってしまった。
心なしか周りからの視線が痛かったし、少し気持ちの整理がしたくて今日は早く寮に帰ってきた。

幸か不幸か私のルームメイトは1年生の頃、
上京して専門学校に行くんだ!と言い陽泉を出て行ってしまい私はずっと1人部屋だ。



「付き合って、ってまさか、まさかだよね...」

あの雰囲気で買い物に、だなんて事はないだろうし、
氷室くんは罰ゲームなどでそういうことをやる人だとも思えない。

ということは
氷室くんが、私のこと好き、とか。


自意識過剰かもしれない。

けど、密かに想ってた人から告白なんてされたら誰だって嬉しいだろう。



けど、やっぱりどうして氷室くんは私になんか告白したのだろう。

クラスも委員会も部活も選択授業さえも違うのに私という存在を認識して、名前まで知っていた。


氷室くんから呼ばれた名前は17年間ずっと使ってたものなのに、
すごく特別に聞こえたのは、初めて話した好きな人の声だったからなのだろうか。





ここから私の恋物語はすでに始まっていたのでしょうか。
それはこの頃の私にはまだ分かっていませんでした。

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