愛したのが君でよかった。






「なまえ、もう起きなきゃ。こんな時間だよ。」

「んー?たつやくん」

「うん、おはよう」

「おはよう!」



彼に付き合おうと言われた高校2年生の秋からもう7年。


7年という月日は長いようであっという間だった。
それでも時間が変えたものはたくさんあった。


例えば福井さんは会社でエリートだなんて呼ばれて、バスケをしてたなんて思わないくらいバリバリ働いている。

例えば劉くんは高校卒業して、一旦国に帰ったけど、また日本に戻ってきて今では日本の会社で働いている。


そして私は氷室くんを辰也くん、と呼ぶようになり、彼は私を名前で呼ぶようになったり。
そして今日私たちは結婚する。












「おー、お前らこんなとこにいたのか」

「福井さん!」

「よぉー、名字、元気にしてたか?綺麗になったなー。」

「福井さん、うちの奥さん口説かないでくださいね?」

「誰が口説くか!誰が!」

辰也くんも福井さんも高校時代に戻ったようで楽しそうだ。
福井さんにはたくさんお世話になった。
「福井さん、今ではありがとうございました!これからもよろしくお願いします!」

ありがとうだけじゃ、足りないけど、今はそれで精一杯お礼を言うんだ。
足りない分はこれから、辰也くんと一緒に恩返ししていくんだから。

「おー、お前らちゃんと幸せになれよ」


じゃーまたあとでな、なんて言って去って行く福井さんは、昔となんら変わりなくて嬉しくなる。
月日がもたらす変化も大きいけど、変わらないものだって沢山あるのだ。









「あ、名字!」

「あ、劉くん!」

「おー、馬子にも衣装アルな」

「でっしょー!けど、たまには素直に似合ってるって言ってもいいんだよー!劉くん!」

「違うよ、なまえ。劉は自分はまだ独身だから僻んでるんだよ」

「ほんっとウザい夫婦アルな」

夫婦だって!そうだよ、今日からもう夫婦だ。なんて2人でホクホクして。
劉くんには呆れた目で見られて。

相変わらずな関係で懐かしくなる。

劉くんに改まるってお礼を言うには少し気恥ずかしいからそこはご愛嬌で省略!けどなんだかんだ、私たちに一番手を焼いてくれた劉くん。
辰也くんも何も言わないけど、すっごい感謝してるんだからね!

「はぁー、氷室!ちゃんとこいつを幸せにするアルよ」

「勿論だよ。」

劉くんも気恥ずかしくなったのかさっさと背を向けて福井さんと同じ方向に歩いて行く。
どうせ、会場で久しぶりにあった福井さんをからかうんだろうね。














「なまえ。」

「なあに、辰也くん」

「これまでさ、たくさん泣かせちゃった分、これから一生かけて幸せにするからね」

「違うよ!辰也くん。これから一緒に幸せになるんだよ!」

「...はは!そうだね、これからもよろしくね、なまえ。」

「うん!嫌だって言われても離してあげないよ!辰也くん」

「愛してるよ」





始まりは契約みたいなものだった。
だけど今はそれでも良かったと思うの。
ここにくるまで長い道のりだった。
だけど最後はハッピーエンドで幕を閉じるの。

たくさん泣いたし、たくさん笑った。
そんな時、いつも隣にいてくれたのが辰也くんで本当に良かった。

君を好きになれて、愛せて良かった。
これからも、ずっと側にいられる。
高校時代の私がみたらどんな反応をするのだろうね?


辛いことがあっても、泣きたいことがあっても、私は君と出会えて良かったよ。ありがとう。大好きだよ。





契約彼氏に恋をした


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