繋がり
久し振りのデートとなると、テンションがこの上なく上がる
普段ここまでテンション高くないから、友達には「キモい」と思われているんだろう
だがしかし、そんなことは関係ないのだ!
それだけ嬉しいのだ。
…次、何時デートできるかわからないもの
「なるほどな、だからみょうじちゃんはそんなにテンションが高いんだな」
「高尾みたいで不愉快極まりないのだよ」
「緑間くん、酷い」
教室に入れば早速高尾くんと緑間くんが口を開く
緑間くん、ほんと素直に物を言うから傷付くんだけど…
普段からそうやって素直なままいればいいのに
…なんて思いつつ、話をもとに戻す
「宮地さんと、高校生活最後のデートっつーわけだ?」
「うん、そうだね」
彼氏である宮地さんは3年生。
もうすぐ卒業を迎え、4月からは大学生として生活するのだ
これから私生活もろとも忙しくなるはずだ
だから次、何時会えるかも分からない
お互いメールや電話を頻繁にしないタイプだから、っていうのもあるけど
「ま、楽しんでいっといで!」
「ありがとう〜」
高尾くんに笑顔で答えれば、精々迷惑をかけないことだな、と緑間くんにとどめをさされた
*****
迎えた当日、待ち合わせ場所に行くと、もうすでに宮地さんの姿があった
「すいません、待たせちゃって…」
「俺来たばっかだから平気。行くぞ」
暖かい、大きな手が、私の手をそっと握る
私はその手を、優しく握り返した
映画を観て、行きたかったカフェに行って、…
そうしていくうちにどんどん楽しかった時間が終わりに近づいてきた
「なるべく時間は作る」
「…へ…?」
「お前の気持ちは分かってるから」
全部全部、分かってたんだ…
私が寂しいって思ってたことも、何時会えるか分からない不安も…
「会える時間は減るかもしれない。けど…今よりメールの頻度は増やすし、電話もする。前みたいに暇できれば勉強も見てやる。心配しなくたってちゃんとなまえのこと考えてるし…」
頬を赤く染めながら、淡々と喋る宮地さん
そんな宮地さんをぎゅっ、と抱き締めれば背中に回された腕が優しく私を包み込んでくれた
不安が、押し流されていく、そんな感じがした
「ところで…」
身体を離すと、宮地さんは少し言いづらそうな表情でこちらを見る
「どうしました?」
そう聞くと、いや…と吃りながら私の後ろの方を指差した
その方向を見てみれば、いないはずの人達の姿が見えた
「あいつら轢いてくるわ」
真っ黒い素敵な笑みを浮かべた宮地さんは、高尾ォォォォ!!!!と怒鳴りながら走っていった
なんだかそれが、懐かしく思えて、自然と私も笑みがこぼれた