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 初恋が君で良かった


おおきく振りかぶって








「矢野!」





「ミョウジ、」

「えっと、卒業おめでとう」

「ああ、お前もな」


今日は卒業式、私たちは来年高校生になる。

「矢野は、美丞に行くんだよね」

「おう」


美丞は男子校、
つまり矢野とはもう同じ学校ではなくなってしまう。


中1では同じクラスだったけど全然話したりしなかった。
中2でクラスは分かれたけど委員会の当番がたまたま一緒でよく話すようになって、
中3でまた同じクラスになった。


最初は別に好きじゃなかった、ただのクラスメイトの男の子。

いつからだろう、矢野を目で追うようになったのは、野球なんて全然興味ないクセに試合とか観にいって。

目つき悪いし優しくなんてない。
それでもこの3年間で私は矢野のことが大好きなったよ。


「...矢野、あのね、ありがとう」


高校に行ったら、矢野よりステキな人が現れて、私はその人の事が好きになるかもしれない。

それでも、私の初恋の人はこの先ずっと矢野だし、矢野を好きになれて良かったも思う。


「もう永遠に会えなくなるみたいに言うんじゃねえよ、気持ちわりぃな」

「ふざけんな、学校違うし、矢野、寮じゃんか」

「じゃあ会いに来ればいいじゃん」

「はぁ!?」

矢野がそんな冗談言うと思ってなかったからちょっと、大分驚いた。

「ああ、うん、また会おうね」

それでも、矢野が冗談で言ったとしても純粋に嬉しい。

「別に冗談とかじゃねーから」



俺はミョウジが好きだから、
卒業して学校が違うくらいでお前を諦めようとは思わねえ。




「やのー!写真とろーぜー!」

「今いく!」

返事、待ってるから。





....返事なんて、




「やのー!私、矢野が好きー!」



初恋君で良かった


みんなの「やっと付き合ったのー?」だとか、「良かったなー!」をBGMに私は矢野に抱きついた



「好きだから浮気しないでね」

「男子校でどう浮気しろと」







おお振り、矢野さん好きなんですけど、高校野球って夏で終わりじゃないですか。
矢野さんはもうでないのですかね。
泣きたいね!

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