Happy Valentine! ver.森山




きゃー!黄瀬くん!チョコ受け取ってー!!


耳をつんざくような黄色い声がこっちまで聞こえてくる。

「うるさい」
「うるせぇ」



「「あ」」

やっぱり笠松先輩も私も思ってる事は同じようだ。

「あ、そうだ。先輩、はっぴーばれんたいん、です」

「せめてハッピーそうな声で言えよ」

だってギャラリー煩いし、大好きな人はまだ来てないし全然ハッピーじゃない。


「おはようございます!!!」

「あ!早川先輩、おはようございます、はっぴーばれんたいんです」

「うおおお!チョコだ!!あ(り)がとな!!」

「ん?なんだコレ?」

「あ、笠松先輩気づきました?チロルチョコ30種類です、流石に全種類は多すぎて無理でした...」

全部で何種類あるんだろうか、ググってみたけど多すぎて分からなかった。


「お、おう。まあ、ありがとな。」



「あっ!おはよーごさいますっ!」

「うるせぇよ、黄瀬」
「黄瀬くんうるさい」

「えぇ!そんな朝から酷いっスよ!!」

「はい、黄瀬くん、ばっどばれんたいーん」

「バッドってそんな嫌そうな顔をしないで!?ってなんスか!これ!!」

「私の黄瀬くんへの愛のカタチ(棒読み)」

「名字っちの俺への愛はチロルチョコ1個っスか!?」


別にいーじゃん、お前さっきめっちゃ貰ってただろ、全部食べて太れデルモ。





「やあ!おはよう!」


....きた、私のダイスキな人。


「いやー、可愛い女の子がねー、朝からチョコをくれて!!」

「だから何だよおせーんだよボケ」

「なんだ笠松?男の嫉妬が醜いぞー?」

「ちっげーよ!!」


さすが森山先輩だ....朝っぱらからナンパしてたのか....いや?チョコを貰ったってことは女の子から自発的に......
ああもう駄目だ森山先輩にはバレンタイン、チロルチョコ3個にしよう....


「...........森山先輩.....」

「あぁ!名前ちゃん!今日もかわいいね!付き合ってくれ!!」

「はっぴーばれんたいんですハイどうぞ!」

「えナニコレ」

「チロルチョコですけど」


そこまで言ったところで焦ったような変な顔した黄瀬くんが近くにやってきてコソコソ話出した。


「名字っち!?まさか森山先輩までチロルチョコじゃないっスよね!?」

「黄瀬くん顔変だよ」

「えぇ!?俺モデル!!ってそうじゃなくてチョコ!!森山先輩には作ってきてるでしょ!」

「だって、森山先輩もう可愛い子から貰ったみたいだし」

いらなくない?
そりゃ作ってきたけどさ、どーせ他の子からも貰うんでしょ。

あーもうやだ、私、超カワイくない。


「絶対森山先輩名字っちからのチョコが一番欲しいって!!」

「なにを根拠にっ!」


そこでコソコソ話をやめた黄瀬くんが森山先輩の方を向いて、

「森山先輩!先輩は名字っちの手作りチョコが一番欲しいっスよね!」

お前何言ってんだ、私に死ねと?正に公開処刑、そこで一緒に失恋。
黄瀬くんに来年は絶対何もあげないからな。



「そりゃ女の子からのチョコは嬉しけど、やっぱり好きな女の子からが1番嬉しいに決まってるさ!」


「ほら!名字っち!」




「名前ちゃん、そういう事なんだけど、どう?」

「え、えっと、」

「名前、大好きだよ」

「よ、良かったら受け取って下さい!」



本命には慎重になるタイプ



「あの...普段のす、好きだよ、とか冗談じゃなかったんですか....!?」

「好きな子にしか告白はしないさ」



お題:確かに恋だった 様より