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影の薄い可愛い後輩

あの後、黄瀬と着拒を止める約束と、新しいメアドを渡して
そしたら黄瀬を飛び蹴りする先輩がいらしたから、黄瀬を引き渡した。

泣く黄瀬を見送り、今は黒子探し。
まだ帰る直前だろう。




「黒子!!」

「葵さん、いらしてたんですか。お久しぶりです」

「うん、久しぶり」

なんて挨拶をしてたら女の方に話しかけられた。

「黒子くんの知り合い?」

「はい、秀徳高校2年、男子バスケ部マネージャーの七瀬です」

「中学からの先輩です」

「中学から!?帝光出身?」
「つか秀徳!?」

誠凜さんがザワつく。
今度はPGの人に話しかけられた。

「ていうことは帝光の頃からマネージャー?」

「帝光の頃は選手でした。」

するとずっと考えこんでたような女の人がバッと顔を上げた。

「やっぱり!帝光女バス副主将でPGやってた七瀬葵さんね!?」

「えぇと、はい」

誠凜さんは今だザワザワしてる。
副主将!?
あ、昔月バス載ってるの見たかも!!
え?こんなちっせーのがキセキと同じ帝光?

とか。様々な驚きの声が聞こえる。
ていうか赤髪、小さくてもバスケやってるやつはいるんだよふざけんな。

「あの!ちょっとだけ、黒子の時間貰っていいですか?」












今、私と黒子は誠凜さんの最後尾に歩いてる。
一緒に帰るから歩きながらでもいいかって言われて。
全然おっけーです!てことで、
別に聞かれちゃ駄目な話じゃないし、気をつかって少し離れた所を歩いてくれてる。


「あのね、私バスケ辞めたの」
「知ってます」

「やっぱり、知ってるだ」

「はい、葵さんがメアド変えたのも知ってます。」
「ご、ごめんね」

「黄瀬くんとも話ましたよね?多分彼が僕の言いたいことは言ってるはずです」


「あなたは昔から自分を卑下しすぎです。僕らは葵さん自身のことを尊敬してて、大好きなんですよ」


緑間も、黄瀬も、黒子もみんなそう言ってくれるんだね。
しかもみんな真っ直ぐ私を見て、嘘がない言葉ばかり。

まさか、こんな言葉たちが帰ってくるとは思ってなかったから、

「なんで泣きそうなんですか」

「良い後輩たちを持ったなあって思って」


まだまだ他にも新しい光を見つけられたようで良かったね、とかまた黒子が楽しそうにバスケをしてて良かった、とか言いたい事は沢山あったけど、
黒子は全部分かってるから、分かって赤髪くんと、他の誠凜のみなさんと歩み始めてるみたいだからもう何も言う必要はない。


「じゃあ、黒子の時間貰っちゃてすみません、有難うございました。
今日、第4Qからしか観れなかったけど、誠凜さん凄かったです。
次ちゃんと会えるのはIHの予選ですね!
誠凜さんも頑張ってください!」

うちは強いですから!


そんな宣戦布告、誠凜さんには期待してる。
だから頑張って、秀徳戦まできてほしい。


「じゃあ失礼しますね!」



(影薄い可愛い後輩)


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