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親友と電話と後輩くん



もしもしー?げんきー?
私?いつも通り元気だよー!えー、何それ酷くないー?
あははっ!今?テスト1週間前!
勉強しなくていいのかってー?
してるよ失礼な!
ふふん、今私には強力なスケット先輩がついてくれてるから大丈夫なんだよーだ!
テスト終わったら久しぶりに会いたいねー、
え?休み?あるわけないじゃん!




あははっと笑うのは我らがマネージャー七瀬葵さんだ。

そしてそれを隠れて見てるのは俺。
男子バスケ部1年レギュラー、鷹の目をもつ天才の相棒!
そう、高尾和成だ!

ちょっとダサい自己紹介になってしまったのはそれ程俺が焦っているからだ。
何故焦っているのかというと話しは3日前まで遡る。


まず初めに言っておくと、秀徳男子バスケ部には女子マネが2人いる。
その内の1人は言わずもがな葵さんで、
もう1人は俺らと同じ学年の鈴木ちゃんだ。

その鈴木ちゃんが3日前、帰り際に体育館で爆弾発言をしたのだ。

「先輩、たまに電話してますよねー?それでですね!電話してる声がたまたま聞こえちゃったんですけど相手って男の人ですよね?もしかして彼氏ですか!?」

なんて目を輝かせながら葵さんに聞いていた。
その会話は俺たち自主練習組にも聞こえていて。

俺は内心”やっべー!電話!?葵さんって宮地さんの事が好きなんじゃねぇの!?浮気!?”なんてテンパっていたわけである。

それなのに葵さんは平然と
”彼氏ー?いやいや、違うよ、友達。”なんて笑顔で返すんだぜ。
たまに電話してるってことはたまにでも定期的に電話してるんだろ?
しかも男。

葵さんが宮地さんと上手くいって欲しいと勝手に思っている俺は真ちゃんの方を見た。

すると真ちゃんもテンパって...るはずもなくいつも通りシュート練習をしていた。

そうだよな、真ちゃんが恋バナすると思えねぇもん。
ということで宮地さんの方を(あくまでも体を向けずに)見てみる。

するとこちらも焦っておらず、いつも通り練習してる。
何故だ。
実際、宮地さんは葵さんのことどう思ってるのかは分からない。
それでも後輩の中で一番と言えるほど仲良い葵さんの恋路は少しくらい気になるだろ!?




というわけだ。
回想的に俺だけが焦ってるんだと思うだろう?
しかし秀徳の男子バスケ部の団結力を侮ってもらっちゃ困る。
俺以外の部員もめっちゃ葵さんや宮地さんの方をちらっちら見てんだよ!!

その時俺は思った。
宮地さんと葵さんの仲を応援しているのは俺だけじゃない、と。

そこで、だ。
今はまだ部活20分前。
宮地さんと葵さんの仲を応援しようの会(仮)の代表として俺は葵さんの電話模様を観察している。

あ、葵さんの電話が終わったようだ。

「あ、高尾くんだ」

「ちわーす!葵さん今日も早いっすね!」

「うん、掃除なかったから」

いつもより少しだけ機嫌が良い葵さん。
そもそもあまり怒っている姿はみないのだけれど。


「...電話っすかー?」

いつも通りヘラヘラ笑って聞いた俺、内心まじで真顔だぜ?

「うん、親友なんだ」

「もしかして、この間鈴木ちゃんと話してた男の人っすか!?」

「え、うん。なんでそんな必死なの」

「え!いやぁ、そんなことないっすよ〜!」

しまった、つい真顔になってしまった。

「あ、もうすぐ部活だ。テスト前だし自主練出来ないんだから遅れたら怒られちゃうよ、行こう!」




結局葵さんには電話相手の正体を聞けず仕舞いだったけど、
幼馴染じゃなくて親友ってことは中学同じって可能性もでけーし、もしかしたら真ちゃんなら知ってるんじゃないかなって。

けど、真ちゃんに聞かなくてもいつか葵さんが自分から話してくれるまでに心を開いてくれる日まで待つか!
って思う俺は相当葵さんの事を気に入ってるのかなーなんてな。

もちろん先輩としてだけどな!


(親友と電話と後輩くん)

久々更新です!宮地さん全然でてませんね!困った!
次回くらいにはでますよ!(多分)
今回は、先輩マネジとはやく仲良くなりたい後輩くん高尾の話でした。


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