「あんた何でそんな鈍臭いの?」
「結月が率直すぎて辛い」
事の始まりはわたしがお弁当を忘れたことだった。
「あ、お弁当忘れちゃった」
「じゃあ購買いこっか、結月も行くでしょ?」
「ん?あぁ行くよ」
無事わたしのご飯も買えて3人で話しながら教室に戻ってるときだった。
「くぉらぁぁぁ!!!瀬尾ぉぉぉ!」
「げ、生活指導の先生じゃん」
隠れろって言って走って階段の影に隠れた結月。
生活指導の先生は結月が階段の影に隠れたなんて気づかずに走っていったけど、「結月、今度は何したんだろー」なんて思いながら階段を降りようとした。
そしたらその時フワリと体が浮いた感覚がした。
あ、これアカンやつやって思った。
どうせ結月は遅刻のしすぎだ、とかついうっかり副担の先生のズラを外しちゃった、とかそんな事なんだからほっておいて階段を降りる事に集中しとけば良かった。
堀先輩にまた傷作ったな!って怒られるかな、鹿島には傷作っちゃったならパフェ食べにいこって誘われるかな。
...今日は怒られたくないから鹿島とパフェ食べに行こう。
そんな事を短い間に考えていたけど、いつまで経っても落ちたという衝撃がこない。
「あれ?」
「おー、伊織。怪我ない?」
「ゆ、結月...!!」
階段から落ちたわたしをキャッチしたのは結月だった。まじイケメン!
「伊織ー大丈夫!?」
「大丈夫ー、結月がキャッチしてくれた!結月、ありがと」
よいしょっとわたしを下ろす結月。
「怪我ないなら良かったよ」
.....結月まじイケメン。
ローレライ(=スポーツの出来るKY)
「今日は何やったの?結月」
「あー?知らない」
そういえば朝、結月が教頭に向かって副担のズラを投げていたの見たわ。