「伊織ー、帰ろー!」
「鹿島ごめーん、今日寄るとこあるんだー」
ごめんね、と言うとじゃあ今度一緒にクレープ食べよ!と答える鹿島に了承の意を伝えて帰る準備をする。
今日は野崎の所で夕食を食べることになったので急いで野崎の家に帰りたい。
野崎のご飯は美味しいんだもん。
門をでると演劇部の先輩が前を歩いていたので声をかけようと思う。
「堀せんぱーい!」
あれ?けど先輩って電車通学なのにこっちは駅じゃない。
「おー、伊織」
「先輩も用事ですか?」
「あぁ、やることがあって」
「へぇーわたしご飯食べに行くんですよー、友達の家に!」
先輩と話してたら到着した野崎の家。
先輩もこのマンションに用があるようで奇遇だな、と笑いながらエレベーターにのる。
「お前何階?」
6階です、と答えると途端に眉間に皺をよせる先輩。
先輩が眉間に皺をよせるだなんていつもの事なのでスルーして6階の野崎の部屋に到着。
「...お前の友達って野崎?」
「先輩の用事も野崎なんですねー」
奇遇が重なりまくった結果、わたしたちはお互い野崎に用事があったようです。
ピーンポーン
「いらっしゃい、先輩と咲野?」
2人とも一緒だったんですね、と話す野崎と今だ眉間に皺をよせる先輩。
...先輩は野崎に一体なんの用が?
「野崎、今日のご飯なにー?」
「今日はハヤシライスだ」
「やったー、あと先輩って野崎のアシスタントさんなんですか?」
「!?!?」
そんなに驚かなくてもいいのに、先輩。
「堀先輩、いいんじゃないですかね?咲野は」
「...伊織、お前コレ絶対鹿島に言うんじゃねぇぞ!」
そういった前置きで教えてくれたのは、野崎に演劇部の台本を頼むために先輩が背景を担当してる、とのこと。
どうして鹿島に秘密なんですか?と尋ねると、先輩曰く「あいつにバレるとともれなく女子までココについてくる」らしい。
まぁそうだね、先輩の想像程では絶対ないだろうけど鹿島には秘密にしといた方がいいかもね。
女の子たちに鹿島が野崎の家に遊びに行っただなんてバレたら面倒そうだし。
「お前は?」
「うーん、おしゃべり兼ネタ提供係り?わたし物語とか考えるの嫌いじゃないですから!」
「あぁ、お前即興とかペラペラでてくるもんな」
妙に納得する堀先輩。
即興は基本先輩とやるから(ほぼネタだけど)分かってくれたみたい。
「今日は普通に遊びにきただけですけどね」
「飯出来たぞー」
先輩(背景担当)と友達(少女漫画家)
先輩は今日野崎の家に泊まって行くんだって。
いいなーって言ったらお前は絶対ダメだって先輩に止められた。