「王子、私をどこか遠くに連れていって下さい」
「...姫!しかし、それは...っ」
「我儘言ってごめんなさい。それでも...わたしは...」
ハイカットー!、堀先輩の掛け声によって一時劇が中断される。
「照明、もうちょっと寒色っぽいのにしてくれ!あとここの台詞なんだが、」
「せーんぱい!疲れたから少し休憩にしませんかー?」
「あ?あぁ、そーだな。」
鹿島の一言により部活は一旦休憩になった。
ところで、だが私は鹿島が好きだ。
もちろん、恋愛的な意味ではない。
「かーしまー。」
「んー?伊織なにー?」
飲み物いるー?という言葉に頷きながら鹿島をみる。
「うーん、やっぱり鹿島イケメンー」
私は鹿島が好きだ。
もちろん、友達としても話しやすいし好きだけど何が好きかって...
鹿島の顔がすごく、好き。
「鹿島の顔好きー。」
「私も伊織の顔好きだよ、お姫様?」
「やだ、王子...そんなこと言ったら、わたし...」
「茶番を繰り広げてるんじゃねぇよ、アホ共が!」
と鹿島の頭を思いっきり殴る堀先輩。
なんで私だけ...と殴られた頭を抑える鹿島。
うぇーい、と言って舞台に戻るわたし。
これが普通で日常である。
演劇部はなんだかんだ居心地がいいから好き。