「そういや野崎と咲野ってなんで仲良くなったんだ?俺がアシやり始めた時にはもう既に今みたいな関係だったよな。」
みこりんナイスだよ!!
ずっと私も気になってたの!
「えー?成り行き、かなぁ。」
「そうだな、成り行きだな。」
みこりんは(ヒロインの)モデルだから観察対象、堀先輩は演劇部の台本との物々交換、若松くんはバスケ部の後輩、そして私は美術部としての(自分で言ってて悲しいけど)技術目当て。
じゃあ伊織は?
そりゃ同じクラスだったとしても1人暮らしのしかもお、男の人の家に1人でよく行くような仲になる!?
普通はならないよねっ!!
はっ...!!
もしかして「俺、初めて見たときからお前のこと気になってたんだ」「じ、実はわたしも...」「まずお互いの事を知るために俺の家にこないか?」「う...うん!!」みたいな会話してて、
だけど周りから友達って認識を受けてるから今更友達以上になりたいなんて言えなくて...
ということは野崎くんと伊織はり、り、両想...い?
「...そんなっ、」
「えっ千代、そんな顔するほど成り行きって理由気に食わなかった?」
「はっ...!佐倉はもっとロマンチックな理由が欲しかったんだな!」
「そんなこと言っても、わたしと野崎の出会いにロマンチックもクソもないわ」
「まー、そんな佐倉のためにもお前らの馴れ初め聞かせてくれよ!」
「...馴れ初めって言われても、ねぇ?」
* * *
「よし、じゃあ俺が話そう」
俺が咲野と初めて話したのは入学してから2週間後に行われた席替えだった。
そこで俺たちは隣の席になったんだが、机移動の時のことだ。
咲野は机を移動しながらこちらに突っ込んできたんだ。
「きゃっ...。ご、ごめん野崎、くん?大丈夫、怪我とかない?」
幸い、被害に遭ったのは俺の上履きくらいで咲野は申し訳なさそうにこう言ったんだ。
「本当、ごめんね。わたし、チカラとかあんまり無くて、机運ぶの大変で...」
出来たら、机戻すの手伝ってもらっていいかな...?
「そんなこと言ってないから。机くらい、運べるわ。野崎、話作らないで。」
「...次の漫画の短編に、と思ったんだが。」
「はぁ!?今の作り話だったのかよ!?」
「そそそそ、そこから恋が芽生えちゃったりしたのかな!?!?!?」
「ちよ...?今の作り話だし、芽生えるわけないからね」
まぁ咲野が机をもって突っ込んできた、っていうところまでは本当なんだけどな。
その後は普通に隣の席で話すようになって。
そうそう、咲野は学校で初めて俺が”夢野咲子”だと伝えても「そうなんだ」と笑って信じた奴だったな。
学校の友人の中でも俺のことをよく理解してくれるようになったし、手助けしてくれることも多くて感謝してる。
「じゃあ野崎くんは伊織のことどう思ってるのかな!?」
「親友、だな」
ネタ提供としても感謝してるしな。