第3者目線











試験期間。
文武両道、と掲げてる秀徳高校では試験2週間前になると朝練と自主練が、
1週間前になると部活が禁止になる。

強豪校、と言われるバスケ部でもそれは例外ではなく試験まで1週間となった今、部活は休みで俺たちは体育館にさえ行けない状態である。


...いや、別に体育館に行くのはかまわない。
ただ練習が禁止なだけで体育館に行くのは許されている。

しかし俺たちバスケ部いや、この学校の2年生以上は試験前になると絶対に、なにがあっても体育館に行かないのだ。


そんな暗黙の了解が出来たのは今から1年より少し前、
俺たちバスケ部はたとえレギュラーじゃないとしても試験で赤点(40点と少し厳しめだと思う)、だなんて許されない。

それはマネージャーである名字にも同様のことで監督直々に赤点がないかどうか審査をされる。(ちなみに赤点をとったやつは......まぁ想像にお任せしよう。)

1年の1学期、秀徳高校で初めての定期試験、何人か赤点をとった奴らもいた。
そしてマネージャーは赤点こそは無かったのだが、試験範囲を間違えて数学のテストに臨むというなんとも馬鹿な真似をして41点、という一歩間違えたらお墓行きの点数をとったのだ。

名字って普段は結構、他の学校の分析とかもできるしよく働くし周りを見てる奴なんだけど、変なところでぬけてるんだよなぁ...。


...まあそれはいいとして、それを知った宮地さんと名字の間に何があったのか詳しくは教えてくれなかったけど、2人の勉強会がはじまった。


俺たち的には名字が赤点とって部活にでれない、なんてなったら困るから成績優秀な宮地さんに見てもらえると聞いた時には安心した。

しかしそれと同時に人見知りな名字があの宮地さんと2人で勉強だなんて出来るのか(俺たちバスケ部当時1年の間では)心配されていた。


まぁしかし俺らの心配とはうらはらに、名字は無事宮地さんとも打ち解け、試験でも学年内でも優秀だとされるまでの成績をたたきだした。

...後から知ったことだが、実際は最初も数学さえ失敗してなければ成績優秀者として発表されていたらしい。



まぁ思い出話はこれくらいにして、どうして俺たちが体育館に行かないか、話すことにしよう。


それは俺たちが1年生の2学期のことだった。

いきなり成績優秀者として発表されるまでになった名字がどうやって宮地さんと勉強しているのか気になって俺たちは、勉強会in体育館を見に行った。



すると、驚いたことに2人の間には会話が無いのだ。

勉強会って言うから、てっきり名字が基本から教えてもらってるのかと思いきや、名字がワークを解き、宮地さんはいつもどうり自主練をしていた。


そして名字はバスケをしてる宮地さんをたまに見ては、少し笑ってまたワークを、宮地さんは時々名字に分からない所がないか確認。

きっとお互いがお互いを気にしていることになんて気づいて無い。


たまに宮地さんがベンチに戻って名字の勉強を軽くみて、名字の頭を撫でて練習に戻る。



”付き合いたてのカップルか!”そう叫んでしまいたくなるくらい初々しくて、見ているコッチがフワフワした気持ちになってしまった。

そんなこんなで、2人の勉強会を覗いていた俺たちは邪魔をしないよう体育館には行かないように心がけた。


3年の先輩たち、つまり宮地さんの同級生も、
成績優秀、イケメン、バスケ部、しかし彼女を作らない宮地さんが女子生徒と2人で勉強をしていると聞いてみに行ったらしい。

しかし結果は俺たちと同じで
あの2人のことは邪魔しないでおこう、
それが2.3年の間で暗黙の了解となったのだ。



...あれで付き合ってない、と言い張るんだ。

俺たちとしてはもどかしくてたまらない、はやく付き合えと言ってしまいたいくらいだ。

がしかし、宮地さんはIH、そしてWCが終わるまでは名字に告白しないだろうし、名字に至っては部活第一でしかもまだ自分の恋心に気づいていない。


いったい2人が付き合うのはいつになるのだろうか...見ているこっちの気持ちも考えてほしいものだよ、まったく。


とあるバスケ部員Aの言い分

「あ、安藤くん、おはよ」
「名字...は〜」
「え、なんでわたし溜息つかれてるの」
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