小説 | ナノ
「はよ、なまえ」
「おはよう、一也」
昨日のマリッジブルーが嘘みたいに晴れやかな気持ちだ。
今日は私と一也が6年前、私たちが恋人になった日。
そして今日から夫婦となる。
「今日のヘアメイク、藤原先輩がやってくれるんだって?」
「そう!貴子先輩にね、お願いしたらその日は予約入ってないからいいわよって!」
藤原貴子先輩、
私たちの一つ上の先輩で、私は野球部では無かったけど色々世話を焼いてくれた先輩だ。
貴子先輩は大学を卒業して、ヘアメイクさんになった。
貴子先輩は昔から趣味も良かったし、この職業についたのも頷ける。
「ドレスは唯と幸子と選んだし、楽しみにしててね!」
「ドレスとかって彼氏と選ぶもんじゃねぇ?...なんかことごとくマネージャーたちにもってかれた気がする...」
夏川唯、梅本幸子は私の高校時代の親友でいまも大の仲良し。
彼女たちは高校時代に野球部のマネージャーをしていて、一也と付き合ったと伝えた時には”やっと付き合ったの!?もう!御幸くんってば遅いんだから!”なんて言って笑ってたっけ。
私は野球部でなかった割に、交友関係が結構野球部で埋め尽くされてることに笑いがもれる。
「何笑ってんだ?」
「べーつに?貴子先輩に会うのが楽しみだなーって思って!」
「そーかよ」
今までも、これからも私は一也に影響され続けていくのかな。
大好きだった、大切だったあの日々にはいつだって一也の存在があった。
みんなに出会って、一也に出会って、
私の世界は変わった。
新しい色が沢山加わっていった。
大切で大好きだったあの時間にはもう戻れない。
それでも私たちは変わらずに進んで行かなくてはならない。
願わくば、一也の隣にいるのはどうか私であることを。
(Those important days and favorite everybody.)
「そういえば、春乃ちゃんがこのネイルやってくれたんだよ?」
「またマネージャーか」
一也も私も、あの人たちが大好きなんだ。
あの人たちと、あの日々のおかげで今の私たちがあるのだから。