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「”青道高校元主将、4番で天才捕手御幸一也!華々しい第一戦を飾る!!”、ねぇ...」


私たちが青道を卒業して5年という月日が経った。


この5年は私たちを変えた。

御幸は”甲子園優勝校青道主将”という肩書きを背負ってドラフト1位で野球チームに入団。
倉持は球団からたくさんの推薦もきてたけど大学に進学した。
前園くんは大阪の方のチームに入団したし、ノリくんや白州くんも倉持と同じように大学に進学した。


そして御幸はプロになって5年経ったし、大学を卒業した私も社会人一年目を迎えることとなった。




高校2年生の冬に私と御幸は付き合いだした。

告白は御幸から、
縋り付いたのは私から。


付き合ってから6年目、
私たちは明日、結婚する。


「なに?その雑誌、そうとう前のじゃん」

「...一也、いつ帰ってきてたの?」

「今さっき。なまえちゃんが唸ってたから何見てんのかなーって思ったら昔の俺の記事じゃん?」

なになに、俺がかっこよすぎて唸ってた?

「はぁ?うーん、まぁそうかもねぇ」

「けどさぁ、」

雑誌の俺より、目の前の俺の方が良くねぇ?と言ってわたしをソファの方へ引っ張る。

「一也...ぐずっ...」

「はっ!?なまえ!?」

一也に真っ直ぐに見つめられて、つい目頭が熱くなる。
泣き出した私をみて一也が目に見えて狼狽えるのが分かる。

いつだってそう、一也は私が泣き出すと決まって困ったように私に微笑みかける。


「どうしたの、なまえ」

「な、なんでもないの。」

本当になんでもない。
ただ明日、プロ野球選手で青道の頃よりも大勢に期待されてるような一也と結婚する。
その事実に本当に私でいいんだろうか、私は彼に釣り合った人間なのだろうか、と不安になってしまった。

わたしは一也の事が大好きだ。
一也もきっと同じ。

だけど不安なのだ。

「なまえは所謂マリッジブルーってやつ?」

「...マリッジ、ブルー?」

「そうそう」

マリッジブルーなんてなる必要ねーのになぁ...なんて言いながらもう一度一也は私に目を合わせる。

「なまえ、俺はこれまで沢山お前に寂しい思いをさせてきた。高校の頃も俺は部活ばっかりでなまえを不安にさせることだってあったし、今だってシーズン中は会える時間だって限られてる。」

「けどさ、俺が好きなのは昔も今もなまえだけなんだよ。それだけは変わらない。」

な、心配することなんて何にも無いだろ?


そう言って笑う彼は昔よりも大人っぽくなったけれど、何も変わらない彼だった。



(Marriage blue of the marriage ceremony previous night.)


変わらないもの、見つけた。

倦怠期とかもあったし沢山喧嘩もしたけど、
それでもわたしは君が大好きだって分かった。


「わたし、御幸の事が好き」
「俺はなまえちゃんが大好きだぜ」



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