▼ 一方通行の恋にさよなら (宮地)
「私、宮地先輩のこと好きなんです。」
「そ、そうなんだ。」
それを私に言ってどうなるの、私に言われても困る。
いや、だからと言って宮地くんに言われても困るな、宮地くんのタイプは分からないけどこの子、2年生のミスに選ばれた子じゃん。
目大きいし、細いし、髪も綺麗だし、私なんか完敗じゃないか。
「先輩は、宮地先輩と付き合って無いんですよね?」
「付き合ってないよ、」
「じゃあどうしていつも一緒にいるんですか!」
「...友達だから。」
少なくとも私は友達だと思ってる。
たまにみんなでご飯を食べたり、話したり、ふざけあったり。
私の想いを宮地くんに伝えたらどうなるんだろう。
今の関係が崩れてしまうのは確かだ。
「どうして、先輩なんですか。」
「え?」
「だって、私、宮地先輩の好みに近ずくために、頑張って可愛くなろうと思って努力して、宮地先輩にアピールもして、それなのにどうして"友達"なんて枠に甘えてるような人が宮地先輩の隣にいるんですか!」
その通りだと思う。
今の関係が壊れるのがこわくて、宮地くんに嫌われたくなくて"友達"っていう枠に甘えて宮地くんの隣にいる。
本当は"友達"でなんかいたくないくせに、傷つくのを怖がって。
「宮地先輩だってあなたがいるせいで、迷惑してるんじゃないですか!?あなたが隣にいるから!!だからっ...!」
「迷惑なんてしてねーよ。」
なんで、こういう時に君は現れるの?
「なんでお前が勝手にそんな事言ってるわけ?....こいつが間に受けたらそうしてくれんだよ」
なんで、そんな事言うの?
だから私は君に甘えちゃうのに
「み、宮地先輩....!!」
「なにを思ってでお前がこいつ呼びたしたのか知らねえけど、こいつに"そういうこと"吹き込まれると俺が困るんだよ。」
まさか話の中心の人物がくると思ってなかったのか彼女は青ざめた顔で宮地くんを見ている。
「宮地先輩、私、宮地先輩の事が好きなんです。大好きなんです。だから、だから、あの...!!」
「好きだからって周りの奴巻き込んで何でも言っていいわけじゃねえと思うんだよ、俺は。だから、わりーな」
彼女は今にも泣きそうな顔で、けど凄く強い目で私を睨んで帰っていった。
「で、だ。」
「は、はい!」
「なんでてめーは言われたい放題何よ言い返せよ、つか睨まれたんだから睨み返せ轢くぞ」
「え、えぇと...」
「俺はさ、最初からお前とオトモダいるつもりゃねーよ。」
私達は"友達"じゃないのかな?
それとも、私が宮地くんの事友達と見てなかったように宮地くんもそうだったって思っていいのかな?
私のこの想いは報われてもいいのかな?
「そ、そんな事言われたら期待...しちゃうんだけど...!」
「あ?勝手にしてろよ、俺はお前が期待してよーがしてなかろうが、お前が好きなんだよ。」
一方通行の恋にさよなら
目の前で意地悪く笑う君。
そんな君もかっこいい、だなんて思ってしまう私は時、既に遅しってやつかもしれない。
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