「名字！」

「あ、福井くん！今から部活？」

「あ、あぁ」


同じクラスの福井くん。
ちなみに席は最近お隣さんになって結構仲良い方だと勝手に思ってる。

実は福井くんはバスケ部の副主将なんだって！って今朝友達に言ったら、あんた知らなかったの！？だなんて驚かれたのはまぁ置いといてもらって、なんかジャージ着てる福井くんが凄く新鮮だ。

「...なんだよ、ジロジロ見て」

「いやぁ、部活の格好してるの新鮮だなって思って。」

「...ふーん」


そう言ってそっぽを向いてしまう福井くん。そういえば部活に行かなくていいのかな？

「福井くん、ぶか...「おーい福井ぃ！」岡村くん」

「おぉ名字もおったんか」

「なんだよ岡村」

「今日のレギュラーはメニューに変更があったから伝えようと思ったのにお前さんがおらんから探しとったんじゃ」

「あぁ、悪いな」

岡村くんがそう言うと2人で何か話し始めたようだ。
...なんか勝手に立ち去りずらい。

「おーい福井」
「福井さん、キャプテン！」

「おー、お前らが丁度いい。一緒に聞いていけ、今日のレギュラーのメニュー変更だってよ」

そうして後からきた後輩2人、たしか1人は氷室くん。
この間友達が氷室くんかっこいい！！って叫んでたからきっと間違いない。
もう1人はレギュラーでおそらく2年生みたいだからきっと劉くん。

それにしても、バスケ部ってみんな大きいなぁ、福井くんだって大きい方なのに他のレギュラーの人に囲まれると小さく見える。

「...なんか福井くんかわいい」

「はぁぁ！？」

あれ、心の中で言ったつもりが福井くんに反応されてしまった。

「プ...福井、かわいいって言われてるアルよ」
「ううううっせぇ！劉！おいコラ、ゴリラてめぇも笑ってんじゃねぇ！」
「ご、ゴリラじゃないわい！」

あああ、なんか福井くんが凄く怒ってる...申し訳ないことを言っちゃったな。

「あぁ、えっと、あの」

「名字先輩、ですよね？」

「え、はい！」

3人が騒いでるうちに氷室くんが話しかけてきた。
ちょ、ちょっと私が悪いんだけど、君の部活の人たち喧嘩してるよ！

「私が言うのもアレなんだけどあの3人、止めなくていいの？」

「いつもの事ですから」

そう言ってニコリと笑う氷室くん、
...美しいよ！

「名字先輩は何で福井さんが可愛いと思ったんですか？」

「えっと、なんかいつも福井くんと話すときは福井くんが凄く大きく感じるけど、他のバスケ部の人といると小さく見えてなんか可愛いなって。」

「そうでしたか。あともう一ついいですか？」

「ん？」

「どうしてそんなに嬉しそうに言ったんですか？」

嬉しそうに言ったっけ、私？なんて思ってると、嬉しそうに小さく微笑んでましたよ、なんて言われた。

「うーん、多分私がいつも福井くんがもうちょっと小さかったらいいのにって思ってたからかな？」

実際、今の福井くんは小さく見えるだけで物理的には身長変わらないんだけどね。

「どうしてですか？」

「身長差があるからさ、いつも話してる時も距離が遠いんだもん。もう少し近くにいきたくて！」

私だって女子の平均身長はあるけど、それでも福井くんとの距離は少し遠い。
座ってる時はまだいいけど、立ってる時はもう少し近くにいきたいなーだなんて思うんだもん。


「な、ななな！」

いつの間にか私たちの会話を聞いていた福井くんたち。
「なんで福井くん、真っ赤なの？」って私が聞いたら、「名字先輩が福井さんの近くに行きたいなんて言うからですよ？」なんてご丁寧に教えてくれる氷室くん。

「？.....！！！」
段々私が言った言葉を思い出してボボボ、と顔に熱が集まるのを感じる。

「あ！あの、そんな深い意味はないんだよ！？」

そう弁解していると私の近くまで福井くんがやって来て私の手をとって少しかがんで私の目線に合わせる。

「ふ、ふくいくん」

「...名字が深い意味無くそれを言ったとしても、俺はいつもお前の近くに行きたいと思ってたから。」

じ、じゃあまた明日な。
なんて言った真っ赤なの顔の福井くんは私に背を向けて廊下を歩いていく。

またなんか岡村君たちに福井くんが怒ってるようだけど、今はそんなん気にしてる余裕はなくて。


顔の熱が冷める様子はまだないが、明日福井くんに会ったら私の気持ちをどうやって伝えようか、なんて考えると明日か待ち遠しくなってきた。

とりあえず、今日の予定は部活見学に変更しようかな。



君との距離、縮めちゃいたいん
です。



実は部活を見に来ないか主人公ちゃんを誘おうとしてた福井さん。

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