小説 | ナノ

 友達の好きな人がね (宮地)


「私ね宮地くんが好きなの。
名前ちゃん、仲良いよね?宮地くんがどんな女の子タイプか教えて〜!」

宮地くんのタイプに近づけるように頑張るんだあ。




ふわふわした可愛らしい隣のクラスの友達。
去年同じクラスだったし中良くて結構話すこともあった女の子。

「宮地のタイプかー、そんな話あんまりしないなー」

「そっかー」

明らかに落ち込む様子がよく分かる。
けどごめんね、
本当にそんな話は宮地とはしたことないだよね。
推しメンの話はされるけど(私は相槌うつだけ)、それ以外は本当にないんだ。


「ごめんね、知らなくて」

「ううん!ありがとう、なんか分かったら教えて?」

「うん、分かった」

「あ、あのさ」

少し言い辛そうに顔を伏せる彼女。

「今更なんだけどさ、もしかして名前ちゃんも宮地くんが好き?」


ああ、そういう事か。

「そんなことないよ」


「...そっか!良かった、名前ちゃんとライバルにはなりたくなかったんだ!


そこで昼休みの終わりを告げるチャイムがなる。
じゃあね!と元気良く手を振って自分のクラスに戻っていく彼女は同性の私から見ても凄く可愛いと思う。

もう私は彼女のライバルにすらなれないし、彼女を応援しようと思う。
あの子がいい子だって言うことは去年の1年間でわかってるから、
宮地の彼女になるなら、私の勝手だけどあの子がいいな。



















「...羨ましいなあ、」

放課後の教室、
友達に遊びに行こうと言われたけどなんとなく気分が乗らなくて適当に理由をつけて断った。

今ここにいるのは私だけ。


「告白されたら付き合うのかな...」

あの子のこと応援したい、だけどやっぱり宮地の隣にいるのは私がいいな、だなんて我儘だって事は分かってる。

だって私は1回宮地に振られてるんだから。


自分でも軽率な行動だったと思う。
1年から同じクラスで、女子の中でも宮地と1番仲良いって自負してて
皆にも色々言われてたから告白したのが去年の夏。

今は部活優先したいからごめんな。

口は悪いけどいつも人の事をちゃんと考えてる優しい彼の言葉。

うん、ごめんね!いきなりこんな事言って!忘れてもらっても全然いいから!
だからこれからも友達でいてくれる?

その時の私の顔は酷かっただろう。
泣くのを我慢して笑顔を作って。
それでも友達でもいいから、宮地と一緒にいたかった。

忘れることなんてしねぇよ。

宮地はそう言った。
私としてはもうすぐにでも忘れてしまってほしかったし、
振られた事も忘れたいくらいだったのに。

聞いてくれてありがとうね!
じゃあ部活頑張ってね!

 私はそう言った。
宮地が、なにか後ろで言ってる気がしたけど、もう泣きそうで視界がぼやけ始めてたから振り向かなかった。





「好きな女の子のタイプなんて、聞かなくたって付き合っちゃうんじゃないの...
あの子可愛いし、宮地もああゆう子が好きだよ、うん」


「なにお前1人で喋ってんの」


「傷心中なの、ほっておい...てぇ!?」

「お前なんつー声だしてんだよ」


宮地!!!
え、今1番会いたくなくない!?
いや、けどもしかしたら会うことを願った私の...

「幻覚か、やばいわ」

「なに人を幻覚扱いしてんだよ轢くぞ」

「あ、本物だわ」

この暴言のクオリティは幻覚では表せない、きっと。

「い、いつからいたの?」


「お前が羨ましいなぁっつって、外眺めてるときから」


結構前から居た!!!


「すすす、すぐ入ってくれば良かったのに」

「なんでそんなどもってんだよ」

ああ、笑うなイケメン、

「で、何が羨ましいわけ?」

「え、それ聞くの?」

「バスケ部様が聞いてやってんだぞ、答えろよ」

「横暴すぎるわ、ねえバスケ部様、部活は?」

「今日はこの後、他の部活が使うからなし」

私神様に愛されてるのかもしれない、
宮地のこと考えてたら宮地がくるとか、
それにしても愛が重いよ神様! 
今聞かれたらまずい事だったよね!?
まだ宮地のこと好きなのバレる可能性があるじゃん!
ねえ神様!!


「で?俺の好みがなんだって?」

「みっ!みゆみゆが好きだなって!!!」

「はい、ダウト」

真顔で距離をつめてくる宮地。
これは逃げると勝ちってやつじゃないですか。
しかし宮地はバスケ部、しかもレギュラー。足でも持久力でも勝てるわけねぇ。



「...宮地はふわふわした可愛い女の子って好きでしょ」


聞いちゃったよ、もう。
けどこれなら私が1人で泣くだけで被害が済むと思うから良いだろう。
あの子の事だって本人から伝えたいだろうし、
あとは私がまだ宮地のこと好きだってバレないように話を終了させればいい。


「昼にお前のとこに話に来てたようなやつって事?」

「聞いてたの!?」

「なに、お前はあいつと俺をくっ付けたいの?」

「え、ええ、」

ここで頷いたら宮地は何て言うの。
ここで嫌だって答えたら宮地はどんな反応をするのよ。

答えられなくて俯く。

「なあ」

目の前まで来てた宮地が私の目線に合わせてしゃがむ。

「お前が傷心中なのって、まだ俺の事が好きだからだろ」

ばっと顔を上げた瞬間に宮地と目があう。
もう、これ以上宮地と溝ができるのが嫌で、宮地を引き留めていたくて
バレないようにバレないようにしてきたのに。

「なんで、そんなこと言うのよ」

ああ、駄目だ。
涙が出てきた。面倒臭いやつって思われちゃうじゃんか。

「俺が、お前の事好きだから」

「は、はあ?」

「2年の夏はベンチ入りしたばっかりでバスケに必死だった。だからあの頃は他の事考えてる余裕なんかなくて、自分の気持ちっつーのがわかんなかった。」


けど、今ならもう分かる。
俺はお前の事好きなんだよ。
多分、1年の頃からずっと、



「俺は1度振った身だし、まだバスケばっかりだけど、お前の気持ち聞かせてもらえますか」


「私は、あの頃も、今もずっと、
   宮地の事がだ、大好きです」




友達の好きながね















お題、確かに恋だった 様より

prev / next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -