▼ 結局は君が大好き!(伊月)
クラスメイトの伊月くん。
バスケ部の伊月くん。
恋人である伊月くん。
伊月くんは1人しかいないけど、伊月くんの中にはたくさんの伊月くんがいると思うの。
「って名前が言ったんだけど、日向たちはどう思う?」
「それは彼女がいねー俺らへの当てつけか?」
「まあ、それも少しあるけど「死ね」2人はどう捉えるかなって」
「それは名字だからこそ言える言葉だよなー、だって名字は入学式からずっと伊月の事見てたしなぁ」
「なにそれ、初耳」
「バッカ木吉!それは黙っとけってカントクに言われてんだろ!」
1年の入学式からずっと見てた?
カントクに言われてる?
ますます疑問が広がる。
「いやいや、日向、そこまで言って続き黙っとくのは無いだろ」
「あー、もう続きも糞もねぇよ。1年の時に名字とカントクが話してるの聞いて、それをカントクに黙っとけって言われてるだけだよ」
「なんで黙っとくんだよ」
「カントクが名字のことを可愛がりすぎて伊月に渡したくなかったんだとさ」
「……そっか」
「伊月くーん、練習、終わりましたー?」
「あ、名前」
「ほら、てめーはサッサと帰れ!」
「あ、うん。日向、木吉、また明日」
「名前、どうして名前は俺の中にたくさんの俺がいると思ったの?」
「ん?んーとね」
いつもクラスで日向くんとかリコちゃんとかにダジャレ言って笑ってたり、お弁当をみんなで食べたり凄い優しい時が、
クラスメイトの伊月くん。
バスケ部で真剣に話し合ったり、試合とか練習で一生懸命頑張ってるのが、
バスケ部の伊月くん。
2人っきりでいる時とかあと、すっごい優しく微笑んでくれたり、手を繋いだりしてくれるのが、
恋人の伊月くん。
「だから伊月くんはたくさんいると思うけど、私はどの伊月くんもとびっきりカッコいいから大好きだよ」
なあんて、思ったり。
全て言い切ってから少し照れてマフラーに顔を隠してしまう名前。
「俺もどの名前もとびっきり可愛いから大好きだよ」
繋いでる手に少し力をいれたのは彼女なりの返事なのだろう。
結局は君が大好き! ダジャレはつまんないけど全部ひっくるめて大好き!
え、ダジャレつまんないって思ってたの!?
私は何が伝えたかったか分かりますか?
私にもわかりません!
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