▼ ありがとバイバイ大好き! (笠松)
「私ね、好きな人がいるんだ」
いつも通りの部活の帰り道、
方向が一緒っていうことを活かして2人で帰ってた時、お前は突然口を開いてそう言った。
「何?黙っちゃって、そんなに私に好きな人がいるのがおかしいって言うのー?」
「いや、意外だな、と。お前はバスケしか眼中に無いと思ってたから」
バスケしか眼中に無い、なんて言っても本当はお前に”好きな人”がいたなんて知りたくなかっただけ。
誰なのだろうか。
顔が良いやつなのか、性格はちゃんとしているのか。
委員会のやつだろうか、仲の良いやつだろうか、全く知らないやつか。
バスケ部のやつ、だろうか。
いろんな可能性が頭の中で回っている。
俺だといいな、だなんて有り得ないことを妄想する。
だって俺はこいつにとっては、バスケ部の仲間であり、海常バスケ部の主将なのだ。
俺はこんなにもこいつの事が好きだったのか、失恋が決定してしまった今だとこんなにも分かる。
部員だから、仲間だから、
抑えてた感情がどんどん湧き出てくる。
「笠松、あのね。
バスケ部もうすぐWCでしょ。だから、今言うべきじゃないって分かってるの」
けど、早く言わなきゃ彼、カッコいいから誰かに取られちゃう。
照れ笑いを浮かべながらそう言うお前。
俺の気持ちを押し込んで名字の幸せを願うなら、
こいつの想いが叶って欲しいと思う。
「...好きな奴、バスケ部なのか。」
「そうだよ」
いつも頑張ってるお前を嫌う奴なんていねー。
上手くいけばいい
フラれてしまえばいい
彼女が幸せになればいい、なんて思いながらやっぱり応援できない俺がいるのについ苦笑いがこぼれる。
「今日、告白するんだあ」
緊張するけど、大会前だからこそ聞いてほしいの。
「頑張れよ」
きっと叶う、とか応援してる、
とかは言わない。
俺の最後の悪足掻き。
お前が大好きだったよ。
「どうして私が今、女の子が苦手な笠松なんかに相談してると思う?」
「は?バスケ部員のことだからだろ」
「もう十分森山に散々相談済みだもん」
ー笠松ってば私の可愛いアピールに全然気付いてくれないんだもん。
「名字「今日は送ってくれるのここまででいいよ!」」
ありがとバイバイ大好き!
全く気づかなかった自分は鈍感としか言いようがないのだろうか、それとも彼女のアピールが本当に可愛らしいものばかりだったのか。
今はとりあえず走って逃げやがったあいつを追いかけて、俺の想いを伝えるのが先だろう。
お題:確かに恋だった 様より
誰ですか、これって感じな笠松さんでした!
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