小説 | ナノ

 君不足が深刻です(宮地)


「お疲れ様でした!」




WCが終わって1ヶ月強。
それは3年生の先輩が引退してからの時間を表す。


「名字ちゃーん!お疲れー!!
ってアレ?なんか元気なくない?」

だなんてあのハードな練習をこなした後なのに全然お疲れじゃなさそうなチームメイト兼クラスメイトな高尾和成と緑間真太郎。

「別に…」

「あ!もしかして、宮地さんがいないから?」

分かって言うな、ニヤニヤしてんな

「ハゲろ、バカ尾」

「え〜?」


そう、私は先輩兼恋人である宮地さんと会わないで1ヶ月になるのだ。

「いつから会ってねーの?1週間くらい?」

「…1ヶ月くらい」

「はあ!?」

「え!?WC終わってから会ってねーのかよ!?」

「会ったよ、1回。みんなでの打ち上げで。」

「うわっ、しかも打ち上げ!?電話は!?」

「してない」


だって宮地さん、あと少しってところに受験を控えてるし勉強の邪魔になってはいけない。
宮地さんの邪魔するくらいなら私が我慢すればいい事なんだから。

「うっはー、良く出来た彼女さんだわ。
あ、真ちゃんコレ!」

おもむろに携帯を取り出して緑間に渡す高尾。


するといきなり高尾が手を握ってきた。


パシャ


「しっかり撮れたのだよ」

「何したいの、高尾も緑間も」

「ん〜?恋のキューピットになろうかな〜と!」

「高尾離して、」


「少しくらい照れてくれたっていいのに〜」

「だって高尾だし」

うっは!ひっでー!
なんて言いながら教室に戻っていく高尾。
とりあえずその写真消せよ。

















名字ちゃんは真ちゃんの横だから授業中も鷹の目を使って名字ちゃんを観察してみたけど、時折寂しそうな顔をしている。

だから朝練終わりにあの写真を宮地さんに送ったんだけど、
宮地さんは俺にも、名字ちゃんにも何のアクションも起こしてこない。

メールを見てない?
受験生だからその可能性は多いにあり得るが、しかし少しでも名字ちゃんに何らかのアクションしてもらわないと困るのだ。
マネージャー業はいつもどうり淡々とこなしているが、なんというか覇気がない。あれで本人はいつも通りでいるつもりなんだから、もう健気だとしか言いようがない。

とりあえず電話でも何でもいいから名字ちゃんに会ってあげてよ!宮地さん!!











今日はバスケ部コンビが朝練以降異様に優しい。
はっきり言って気持ち悪いのだが、
2人とも宮地さんに会えない私を気遣ってくれてるみたいなので大変言いづらい。
4時間目がおわって、緑間から貰ったお汁粉を飲んでいると1年の教室では絶対に見ることがない綺麗な蜂蜜色が視界に入った。




「名前」

「え!?みやじさん!?今って自由登校だから学校に来ないんじゃ...」

「なに?俺に会いたくなかったのかよ」

「ち、違いますよ!!」

「まあそうですって言ってたらお前轢いてたわ」


愛しの彼女サマ不足だから会いにきた。

なんて、狡くないですか?



不足深刻です




で?てめーはどういうつもりだ、高尾クン。
え?恋のキューピットになろうかなって〜...思ったりしてえ
いいか、高尾。てめーは変なのがいないか見張っとけばいいんだよ、じゃねえと俺直々に灸を据えてやるからな。
ハ、ハイ。





お題:確かに恋だった 様より




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