リュウビ=中国でユウヤは中国語ペラペラだという妄想から――朝六時、男子部屋。
「ジン君、宝貝好!」
CCMに設定していたアラームが鳴る少し前に、ユウヤは布団ごしにジンの上に飛び乗った。急激に体重を一箇所に受けたベッドは悲鳴を上げ、少し離れた位置にもかかわらずバンが目を覚ます。ヒロは寝返りを打ち、ベッドから転落したまま熟睡していた。
「やった、初めてジン君より早く起きられた!」
ジンは昨日の任務の疲れがまだ残っているのか、目をこすりながら体を起こした。そして、嬉しそうに上から覗き込んでいるユウヤをどかすと手際よく鳴り始めたCCMのアラームを切った。
「ユウヤ、寝癖」
傍にある椅子に座ってジンに髪をとかしてもらうユウヤ。このときはバンもユウヤの長髪を羨ましく思うばかりだった。一年たって背や髪は少し伸びたと思ったが、ユウヤの髪の長さに届くまでどれだけかかるだろうと、バンは開いた窓から吹く風になびく髪を見ていた。
あとはヒロさえ起きれば皆揃ってブリーフィングルームで朝食だ。昼食のパンはジェシカがもう用意してくれているだろう。しかしヒロは寝相が悪いだけでなく、寝起きも悪いのだ。三人が起こそうとしてもなかなか起きようとせず、いつも最後にはコブラに叩き起こされている。
「さっきジンに何て言ったの?」
「秘密。我被他秒殺了、これがわかったら教えてあげる」
新たな愛機、リュウビを手に入れるため執事に教えてもらった中国語。英語すら怪しいバンが混乱するのも無理はない。ここではジンとユウヤの二人しか知らない挨拶、バンがその意味がわかるのは一体いつになることだろうか。
2012/03/15
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