ちょっと注意です。


■10年後捏造設定
■聖騎士奥村
■燐が虚無界の門(ゲヘナゲート)の門番やればいいんじゃないかな!
■俺得設定
■捏造施設、祓魔師出てきます
■雪燐っぽさが出せない病



オールオッケーな方は済みませんがスクロールお願いします↓















「・・・どうしてもやると言うのですか」
珍しく苦渋を滲ませた表情のメフィストが問い掛ける。視線の先では青焔魔の息子、奥村燐が肩を竦ませていた。
「他に誰が出来るって言うんだよ、こんなこと。」
もう諦めたよと、微笑みを浮かべてそう応える燐に疑問しか出てこない。
「人間相手にそこまでする義理など貴方には無いでしょうに。」
「馬鹿だな、お前。嫌われてたって俺は人間が大好きなんだよ。」
「・・・・・貴方には恩が有りますし仕方ありません、協力しましょう。・・・しかしとんだドMなんですねえ、奥村君は。」
「・・・うるせえよ、変態ピエロ!」




 * * * * * * * * * * * * * * * 



「さてさて、皆様方にお知らせがあります。・・・悪魔を物質界から消し去る方法が分かりました」

年に一度開かれる上級祓魔師だけが集まる集会。
任務で会う事はあってもなかなか揃う事の無い面々が集まるこの集会は毎年皆の情報交換の場として有効に活用されていた。
だがしかし今年は通例とは違って始めに連絡事項が有るとの伝達があり、それがこの『悪魔を物質界から消し去る方法について』なのだろうとそこまでは雪男にも把握が出来ていた。けれどそんな方法も聞いた事がないし、第一もしあるならば誰かがやっているはずだ。
その仮定を裏付けるように会場中の真偽を問う視線が一様にメフィストへと向けられ、それに対しピエロのようないでたちの、一応聖十字学園理事長である彼は肩を竦ませて演技がましく怖い怖いと呟く。

「頭の良い皆さんならこう考えているのでしょうね、『所詮悪魔の甘言だ』と。いえいえ私はそれでも構いませんよ?元々この提案には反対なのですからね。・・・ですがどうしても彼がやりたい、と仰るので…ねえ。そうでしょう?現聖騎士の奥村燐君?」

手に持っていた傘を使って指を差すように向けられた先に居たのは、現聖騎士である奥村燐。予想外でしかないのだろう、苦虫を噛み潰したような表情でメフィストを見詰めている彼に会場中の視線が瞬時に移動した。

「あー・・・っと、くそ、後で覚えてろよメフィスト・・・」

頭をぼりぼりと掻きながら壇上のピエロを睨むと、彼は身軽な動作で壇上に上った。完璧想定外であるという風な様子で、あーだかうーだかと唸っているのを見るだけならば本当に聖騎士かと疑ってしまうくらいに、見た目自体はただの青年だった。

「えーっと、そうだな、悪魔を消し去るって言うと語弊があるかもしれないから言いなおしておく。悪魔が虚無界から物質界へとなだれ込むのを防ぐ方法、があるかもしれないんだよ。」

必死に自分の貧相なボキャブラリーを駆使して分かりやすく説明しようとしている姿に、仕方ないので話だけは聞いてみよう、と言う気になったようで若干の私語も有ってざわついてはいるが殆どの祓魔師たちは耳を傾けている。

「俺が青焔魔の血を継いでるのは皆知ってるよな、・・・その血を使って虚無界の門(ゲヘナゲート)を作る。で、メフィストの力をちょっと借りてそこにずっと虚無界の門を存在させっぱなしにすんだよ。んで、その門番を俺がやる。内からも外からも誰にも触れさせないように封印する。そしたら悪魔による被害は格段に減るだろ?」

アバウトな所多いけど、俺説明下手だから・・・ごめん、と謝る彼の言葉にざわざわと周りの祓魔師が騒ぎ始める。信じられない、本当に出来るのか、失敗したらどうするんだ、悪魔なんかに物質界を任せられない、等好き勝手に騒いで、暫くするとその視線を僕へと向けてきた。

「奥村君は聖騎士と兄弟だよね?何か知ってたのかい?」
「・・・いえ、残念ながら、今初めて聞きました」
「・・・成る程、そうか・・・知らなかったなら仕方ないね」
雪男の発言を聞いてそれまで疑惑の混じった視線が、表情が明るく変化する。
だが雪男にとってはそんな周りの祓魔師などはもうどうでもよかった。


「・・・何言ってるんだよ、兄さんの馬鹿野郎」

唇を血が滲むくらいに噛み締め、ぼそりと呟かれたその台詞は周囲のざわざわとした雑踏に掻き消されて消えた。






「・・・僕はあんなこと聞いてなかった!!」

聖十字騎士団、聖騎士専用の執務室。
集会が終わった後で即刻その場所に向かった雪男は普段なら欠かすことの無いノックもせず部屋へ入り、椅子に座って書類にサインをしていた青年の胸倉を掴み上げた。その唸るような声に掴まれた側は予想していましたとでも言う風に笑って対処した。

「だって言ってなかったし。絶対反対するだろお前」
「当たり前だ!なんで兄さんがそんなことしなきゃいけないんだよ、意味がわからない」
珍しく怒りに身を任せて怒鳴り散らしてくる雪男に、苦笑しながらもこりゃ晩飯は刺身にしなきゃな、と何故か思った。

「解って貰おうなんて思ってない、ただ・・・俺の好きな奴らが笑って生きていけるような世界が作れるなら・・・それを作る手伝いが出来たら幸せだなって思ったんだよ。」
お前も含めてな、とそう言ってやれば泣きそうに顔を歪めて、そして雪男が手の力を抜く。緩く息を吐きながら、そういえばと思って雪男の胸元をべたべた触ってみた。祓魔師のコートの下に長細く、硬いモノの感触がする。
「・・・ちゃんと、持っててくれたんだな」
「当たり前でしょ。・・・勝手に約束、させたのは兄さんじゃないか」
10年前の、なんでもない日に強引にさせた約束。それを雪男は忘れることなく、こうして鍵も携帯してくれている。
その事実が嬉しくて嬉しくて、嬉しくて。ポロリと呟いた燐の言葉への返答も、彼が期待していたモノ以上で。
「・・・っ、」
涙が出そうになった。


「兄さん、止めようよ。一緒に祓魔師続けていけばいいじゃないか。兄さんは最強の祓魔師になったんでしょ?だったら大丈夫だよ・・・ねえ、兄さん。」
頬を撫で擦られながら呟かれれば一瞬それでもいいかな、なんて思ってしまう。そんなこと絶対に許されるはずないのに、弟と二人、死ぬまで一緒にいられたらそれはそれは楽しいんだろうなと思う。
「雪男、・・・それは、出来ないんだ。悪い、ごめんな。それと、伝えなきゃいけない事もあんだ。」

すぅ、っと息を吸う。大丈夫、俺は出来る子だ!




「そういやさ、俺今日で聖騎士じゃなくなるんだ。
次の聖騎士は・・・お前だ、雪男。三賢者からの『正式な』お達しだからな、頑張れよ。」

にこりと、あの日のような満面の笑みを浮かべた兄さんの顔を最後に、僕の意識はぶつりと途切れた。


「・・・おいメフィスト、乱暴にすんじゃねぇよ」
雪男を手刀で気絶させたメフィストを睨みつけながら抗議の声を上げる。
「おや、済みません☆ついつい力が入りすぎてしまいました」
雪男の身体を軽々と担いだ燐を見やりながら反省の色の無い謝罪をし、二人の姿をじっと見詰めた。
「なんだよ。こっち見んな気色悪い」
「・・・私の扱い酷くないですか?」
雪男を優しくベッドに横たわらせながら暴言の限りを尽くす燐にハンカチを取り出して泣き真似芝居を打つ。燐はといえばそんな芝居をどうでもよさそうに一瞥した後、雪男のコートのボタンを外し始めた。上から3つ、ワイシャツのボタンもはずして前を寛がせる。
そして目的の物である薄汚れてしまった細長い鍵を取り出し、雪男の唇へ自分のそれを重ねた後、鍵にも小さく口付けた。


「お前の人生に、幸あれ」






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