▼大学生双子スガタクパロ 最終回後の捏造設定 二人とも大学1年 同棲してます ほぼ毎日と言っても過言では無いくらいの高頻度で、シンドウ・スガタの一日は香ばしいパンの香りに目を覚ます事から始まる。 「お早う、タクト」 欠伸をしながらキッチンに向かい、毎朝の日課である挨拶をする。鼻歌を歌いながら調理に没頭しているタクトがスガタに気付きくるりと首だけを其方へ向けた。 「お早うスガタ!朝ご飯もうすぐ出来るから、顔でも洗ってきたらどう?」 上機嫌ににっこりと笑みを浮かべ挨拶をする朝から元気な彼に苦笑しながら言われた通り顔を洗うべく洗面所へ向かう。何時ものように顔を洗い、軽く歯を磨いてからキッチンに戻ると、丁度朝ご飯が出来たらしくテーブルの上には綺麗な料理が並んでいた。 「今日はちょっと寝坊しちゃって…クロワッサンとハムエッグなんだ、御免。サラダは其処にあるから好きな分だけ取ってね」 料理を指差し申し訳なさげに謝罪されるも、スガタはあまり料理が得意で無く、常にタクトに任せっきりにしている為文句を言える立場では無いと首を横に振る。ありがと、と控えめな感謝の言葉と共に調味料が多数入った籠がテーブルに置かれた。 「さ、冷めないうちに食べよう」 気持ちを切り替えるよう頬を両手で軽く叩き、タクトが椅子へと腰掛け両手を合わせる。スガタもそれに併せて自分の椅子に座り同じく両手を合わせた。 「「いただきます」」 二人の日常は、こうして一緒に食事を取る事から始まる。 「今日スガタは大学の講義あったよね」 「嗚呼、タクトは?」 「僕は休み。バイトが有るからどっちにしろスガタと同じ時間くらいには出るよ」 朝食が済み二人で皿洗いをしつつ今日の予定を浚う。ちらりと時計を見れば今の時刻は8時半で、シャワーを浴びてから出掛けても十分間に合う位の時間帯だ。 「僕はこれからシャワー浴びるけど、タクトはどうする?」 小首を傾げながら問い掛けると、頬を桃色に染め俯き加減にばか、と呟き視線を背ける。 「入る訳無いだろ。スガタの家みたいに広くないんだし、無駄口叩かず早く入って来いよ」 しっしっと手を振った瞬間タクトの携帯電話から軽快な着信音が流れ始める。さっと携帯電話を手繰り寄せリビングから駆け足で出て行く。その素振りから知るに着信はメールでは無く、電話だったようで、一気にタクトの姿は目の前から消え去った。一瞬の出来事で綺麗さっぱり会話を流されてしまったスガタは、仕方無いと溜息を吐き独り自室への廊下を歩き出す。部屋に着くまでにタクトを見掛けなかったので、きっと彼も自室で電話の対応をしているのだろう。 …隠す程の相手なのか? いや、タクトに限ってそれはないはずだ。だがしかし… 沸々と苛立つ気持ちを抑えながら自問自答する。醜い嫉妬心だとは解っているが、何故か双子の弟である彼に対する其れは歯止めが利かなくなる。 頭を振り、頭を冷やす為にも素早くシャワーを浴びてしまおうと浴室に向かおうとした時、偶然にも同じタイミングで部屋から出て来たタクトに呼び掛けられた。 「スガタ、あの」 「――…うん?」 申し訳なさげに眉根を下げるタクトに首を傾げる。 「ヒロシが今日来れなくなったみたいで、僕が代わりに今からバイトに行かなきゃいけなくなっちゃったんだ、だから…――お風呂は夜、入ろ。」 前半と違い、後半はにかみながらそう言うタクトはさながら天使のようで、嫉妬心に支配されかけていた事が本当に馬鹿馬鹿しく感じてきた。こっそり安堵の息を吐き彼の額を小突けば、うっとタクトが仰け反り、突かれた場所を両手で抑え恨めしそうに此方を見上げて頬を膨らませる。 「可愛らしいお誘い有難う。是非そうさせて貰うよ、…いってらっしゃい」 「…――なんか、いやな予感しかしないけど…いってくるよ」 眉間に皺を寄せ怪訝な表情を浮かべたまま玄関に向かうタクトを今度はスガタが呼び止める。 「タクト」 「へ、なに?」 「愛してるよ」 「……馬鹿っ!僕もだよ!」 べーっと舌を出し真っ赤になりながらの返事は、乱雑に閉じられたらドアの音と相俟って少し聞こえづらかったが、これでもタクトにとっては精一杯の譲歩だったのだろう。 数分前とは違い、幸せな気分で脱衣所に入る。 僕たちの共同生活は、まだ始まったばかり。 |