▼スガタクスガでタクタク?

やりたい放題(タクトが)
多重人格タクトくん
スガタもタクトも病んでる
例に漏れず意味不明












「スガタ。…スガタ、ねえ、スガタってば」

彼の名前を呼び掛けてるのに、何度も何度も呼び掛けてるのに、何故応えてくれないのだろう。そっと肩を叩き、唇の動きだけでもう一度彼の名を呼ぶ。声が届いていない訳では無い様で、琥珀色の双眸が鋭く細められた。

「ねえ、スガタ。だいすきだよ。僕の自己満足だったって構わない、君が好きなんだから!人を愛せるって素晴らしい事だと思わない?ねえ、」
「…――黙れ、タクトはどこだ」

静かな怒りを携えた声色が僕の話を遮る。驚愕に瞳をぱちぱちと瞬かせれば、ふざけるなと睨まれてしまった。怒った彼も美しくて良いと思うけど、矢っ張り笑った顔が一番かな。

「タクトは僕だよ。ツナシ・タクト、当たり前の事だろ?」
「お前はタクトじゃ無い。」
「えっと…頭でも打った?僕のどこが他の人に見える訳?」

態とらしく鏡を探す振りをしながら口角を上げようとした瞬間右頬に衝撃が走る。僕の身体は勢いよく地面へと転がり、口内は血の味で一杯だ。痛いなあ、痛いのは嫌いなのに。きっとどこか切れてしまったのだろう、唇端から垂れた血を乱雑に拭い取り、状況を整理しようと彼をちらりと見れば拳を震わせながら此方を見下ろすスガタと視線が交差した。


彼は、気付いているのだ。
そして僕も彼が気付いている事を知っていながら滑稽な演技を続けている。


「命令だ、タクトを返せ。」

冷淡な声色が部屋に響く。

「返せって言われても困るんだけどな、だって実際僕はツナシ・タクトだし。喩え君が愛した"ツナシ・タクト"という人格じゃなくても、僕はツナシ・タクト――…」
「御託は良い、タクトを出せ!」

「……は?じゃあ仮にタクトを呼んだとして、君はどうするって言うの?」


初めての反撃に彼の身体がびくりと跳ねる。

「どうして僕達が生まれたか、解るの?君に。解るはず無いよね、皆水の巫女にもひが日死の巫女にも揺れてる君にはさ。タクトの気持ちなんか解らない。だからあんな行動を取れる、最低だよ、ねえスガタ。そうだよ、僕はタクトとは別の人格。タクトは君の事を本当に好きだって言ってた。でも君はそれを裏切った、でもそれでもタクトは君の事が好きだったから何も言わず耐えてたんだ。けどそんなタクトの事を、お前は裏切り続けた。そっからはさ、大体どうなったか検討つくでしょ?頭だけは良いんだからさ。…――僕達を産んだのは君、だから感謝はしてるよ?タクトと会えたのはそのお陰だから。でもね、きみは」


其処で一旦言葉を区切り、息を吸う。嗚呼なんて爽快な気分なんだろう!
満面の笑顔で立ち上がり、彼の傍へ素早く移動し唇を奪った。



「死ねばいいのに、と思うよ」



ロマンチックには
程遠い

(ははは、ざまあみろ!)




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