▼スガタク(たぶん) セブンデイズパロディ続き 噂をすれば何とやら。 校門を出て直ぐの道路脇、スガタの目の前に黒いポルシェが停車している。実際これを見るのは、スガタ自身二度目だ。 この南国の学園でポルシェに乗って登校してくる生徒など、まず彼を除いては存在しないだろうと思う。 「有難う、カタシロさん。」 爽やかな笑みを浮かべ一礼しつつ車から降りてきたのは紛れも無く(自分が予想していた通り)、先程まで女子の話題に挙がっていたツナシ・タクトその人だった。彼の言う"カタシロさん"とは運転席に居る男性の事だろう。 会話もそこそこに車が発進し、それを見送ったツナシ・タクトの視線が、緩慢な動作で校門へと向けられた。呆っと何気なく彼を眺めていたスガタは咄嗟に目を逸らす事が出来ず、二人の視線はそのままぶつかり合い、若干数秒間の気まずい雰囲気を形成する。 「あ、…シンドウ先輩おはようございます」 「…ああ。おはよう、剣道部は今日もさぼりか?」 沈黙の後、漸く此方に気付いたと言わんばかりの笑顔で挨拶をされ、名前まで呼ばれて仕舞えばそれを無碍にする事も出来ず戸惑いがちに軽く応える。 幸いにも彼は剣道部に所属していて(彼が部活に顔を出したのは入部して直ぐの一、二回だけで、所謂幽霊部員だが)、一応会話に困る事は無い。 「さぼりって酷いですね。まあ否定は出来ませんけど…」 「だろう?…嗚呼、そう言えば女子が騒いでたぞ」 人気者だな、と冗談混じりに呟けば彼は苦笑いするだけで何も言わなかった。 「――…未だ、今週付き合う人は決まって無いのか?」 軽く問い掛けながらベランダに屯する女子生徒を眺める。きっと今は彼女達から丁度見えない位置にタクトが居る為何事も起こっては居ないが、多分彼が校内に足を踏み入れた瞬間に壮絶な告白大会が始まるのだろう。 「そう、ですね」 数秒の間が空いて少し暗い色合いの声色で返事が返ってくる。横目で彼を見れば俯き加減に微笑んでいるようだった。 朱い髪の毛が淡く陰を形造り、どことなく儚げな印象を醸し出していて、目を奪われる。 瞬間、無意識に口を開いていた。 「じゃあ、僕にもチャンスは有るって事で良いかな?」 「…――え、」 「僕と付き合ってくれ、ツナシ」 ――――――――――― 中々書きたいシーンまで進まない…! 勿論原作のせりょゆづも大好きです。 |