▼スガタク
純情な彼等は居ません












このご時世、イケメンだから許される事は沢山あると思う。確かに、僕の目の前に居るシンドウ・スガタと言う人物はイケメンだ。美少年と言った方が正しいか。
それは兎も角、幾ら彼がイケメン…美少年だからと言って、僕が彼の行動を許容出来るか出来ないかは別の話で。


「何時もタクトは可愛いね、…食べてしまいたいくらいに。」
「うん、有り難うスガタ。スガタは何時でも気持ち悪いよね!」
「ふふ、誉め言葉として受け取っておくよ」

きっぱりと告げた本音は、冗談だか本気だか解らない台詞に流された。


――矢張り気持ち悪い。整った顔から発されたとしても、気持ち悪い。


「自信過剰な所もうざい」

空気読んでよ、と溜息を漏らせばスガタが恍惚の表情を浮かべる。嗚呼、彼は真性のドMでド変態だったらしい。
じとりと睨み付けるように見詰めれば気を良くしたらしいスガタが近寄って来る。


一歩、また一歩と近付いてくるたびに僕の脚も一歩一歩後ろへ進む。
縮まらない距離にむすっとした表情のスガタが僕を見詰めた。


「何で逃げるんだ?」
「スガタが近付いて来るからかな」
「僕が近付くのが、何で駄目なのか参考までに教えてくれ」
「――本能的に、嫌な予感がするんだよ、ね…っ」

顰めっ面でそう呟いた僕の背中が壁にぶつかる。

あ、と思った瞬間、スガタの顔が迫って来た。…逃げられないよう両脇に置かれた腕が用意周到で非常に恨めしい。


「……なに」


ぶっきらぼうに、不機嫌モードマックスな口調で呟けば、満面の笑みを浮かべたスガタが耳朶に唇を寄せて、熱い息を吐きながら囁いた(気持ち悪いから辞めてくれ、と言う言葉は意味を成さないだろうと思い寸前で飲み込んだ)。








「僕とセックス、してみない?」


その台詞が囁かれた瞬間、僕は無言でスガタの股間を蹴り上げた。



君に生殖器は
必要無い

(寧ろ人間辞めてくれ!)



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