▼色々捏造
スガ→タク(♀)
女体化してるので苦手な方は注意して下さい








サイバディの復元が可能性になってからと言うもの、毎日のように綺羅星十字団との戦闘が続いている。

ワコやスガタを島の呪縛から解放すると宣言したタクトはその約束を守るよう、毎日と言って良い程頻繁に訪れるゼロ時間内でタウバーンに乗り次々と敵のサイバディを破壊していた。

少し前までは偶にスガタも第一フェーズの力を使い援護に回っていたが、何が起こるか解らない、また覚めるか解らない眠りに就く事も有るかもしれないと、今はタクトに止められ行う事を禁じられている。


現在タクト一人に任されたこの闘いは、本来彼女に全く関係の無いことで。
お人好しにも程が有る、とスガタは思う。

毎日毎日、ゼロ時間に呼ばれ闘いを見ているだけでも多少の疲労は次の日に残る。サイバディに乗り自ら闘うタクトの疲れは、その比では無いはずなのに。

自分達に疲労した様子を全く見せない徹底ぶりに敬意すら覚えた。本当に何時も笑って傍に居るだけで、愚痴も泣き言も零さない。


強いのだ、彼女は。




だがその日は登校してきた時からいつもより数段に顔色は青白く、足取りも覚束ずふらふらとしていた。

「…タクト?」

自分の机着くなり突っ伏して動かなくなったタクトの様子に首を傾げる。
何かおかしい、直感でそう思ったスガタがタクトの傍へ駆け寄った。

「タクト、」

名前を呼びながら肩を叩くが反応は無い。
嫌な予感が当たらないよう願い、無理矢理肩を掴み身体を起こさせる。

タクトの様子を窺うべく顔を覗き込めば、先程と変わらず酷い顔色のまま、額に冷や汗を滲ませ意識を失っていた。
見るからに体調が思わしくない。スガタは息を詰め、双眸を細め舌打ちを打つ。

後ろから心配そうに見ていたワコに自分と彼女の早退の氏を伝えればタクトの脇下と膝裏に腕を回し抱え上げ足早に教室から駆け出す。



向かった先は自分の家。
急いでベッドへと寝かせればこの後どうするか、と考える。

医者を呼ぶか、目が覚めるのを待つか。
短い思考の末前者を選んだスガタが電話機を手に取った瞬間、

「…――ん、っ…スガ、タ?」

タイミング良く閉ざされていた双眸が開きスガタを捉える。
掠れた声で名前を呼ばれれば乱雑に受話器を元の位置に戻しタクトに視線を合わせた。


「体調が悪いなら学校は休め。……心配、したんだ。ワコも、僕も。」
「――ごめん。」

身体を起こし短く謝罪する。
顔色は全く変わらず悪いけれど、確かな光を双眸に宿し真っ直ぐに見詰めてくるタクトに溜息を吐く。

「…無理だけは、するなよ」

その言葉に自分勝手だと我ながら思う。タクトがサイバディに乗る理由は自分達の為で、多分それが原因で体調を崩しているはず(予想だ。真意は解らないが否定しないという観点から間違いではないと推測される。)なのに。
無理をするな、と言いながらもタクトがタウバーンに乗って闘う事を止められない自分が腹立たしい。

ぎゅっと握り締めた拳に気が付いたタクトが、スガタの拳を手に取った。
恭しい手付きで拳を解き、やんわりと微笑を浮かべる。


「僕が、好きでやってるんだから。スガタが気に病む必要なんて、何処にも無いよ。」




優しい彼女に、自分は何をしてやれるだろうか。
渦巻く不安感を胸に押し込め有り難う、と呟く。それが今のスガタには精一杯だった。








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