「ようこそ!俺はカルム。君のお隣さんさ」 扉を開けると、ストレートの黒髪の、すらっとした男の子が家の前にいた。端正な顔はどことなく異国寄りで、見慣れない雰囲気を覚える。 「ひっ…!」 びっくりした!びっくりしたとはいえ初対面の人に悲鳴を上げてしまうなんて、なんてことを! てっきりこちらからノックをして挨拶にいくものだと思っていた私はまったく心の準備ができておらず、慌てふためく。 「あたしサナでーす!よろしくねっ」 驚きのあまり男の子に目を奪われていた私は、声をかけられてようやく、褐色肌の可愛らしい女の子がその場にいたことに気づく。 「あのね、あたしたちあなたを呼びに来たの!」 「えっ…あわててごめんね、ありがとうね!私はナナシ、こちらこそよろしく」 呼びに来たと聞いてようやく事態が飲み込めた私は、なんとか落ち着いて自己紹介を返した。 「カロス地方には、プラターヌ博士というすごいポケモン博士がいるんだけどね、俺たち5人の子供に頼みたいことがあるんだってさ」 カルム君が、私を呼びに来た理由を教えてくれる。引っ越してきたばかりの私にどんな頼みごとをするというのだろうか、不思議な博士だなぁ。 「とにかく隣町に行こ!そこでなんと!」 サナちゃんが元気よく飛び跳ねて、私たちを急かす。 「ポケモンがもらえるんだって!」 その瞬間の感動は、驚きでも喜びでもない、そんな単純な言葉では言い表せないほどのものだった。 <* | #> しおり+ もどる |