「お隣に同じくらいの歳の子が引っ越してくるらしいよ」 親からそう聞かされたのは、ポケモン博士であるプラターヌ博士からポケモンをもらえることが決まった矢先のことだ。 「へえ、どんな子なの?」 せっかくなのだから、競い合えるような友達がほしい。そう思い、俺はその話に興味を持った。 「それがね、少し、事情があるみたいなの。お隣に住むことになった私たちにだけ伝えてくれたことなんだけどね…」 それから聞かされた話の重大さは、俺がその子のことをつい気にかけてしまうようになるには十分だった。 ーーー 隣の家の扉が開き、恐る恐るといった風に一人の少女が顔を出す。 大きく黒い目に、黒髪をふたつくくりにしたその少女は、同い年という言葉に首をかしげたくなるくらい幼げな顔立ちをしていた。出身地が異国であるからなのか、目鼻立ちも素朴でおとなしい。 「ようこそ!俺はカルム。君のお隣さんさ」 びくっと顔を上げてこちらを見た少女ーーナナシと目が合う。 ぱちくりと瞬きをしながらこちらを見上げるナナシは、まるで小動物のようだった。 <* | #> しおり+ もどる |