まっさらの姫君 | ナノ
ロ新たな糸口


 ティエルノ君とのバトルでルカリオに、群れバトルでカメールに進化した新たな戦力をつれて、私はコボクタウンに足を踏み入れた。

 その途端、ホロキャスターが鳴り始める。
『ホロキャスターをご利用いただき、まことにありがとうございます。ホロキャスターは、みなさまのポケモントレーナーライフを、豊かに便利にするため、フラダリラボで開発されました。今後もよろしくお願いいたします』
 ホロキャスターはそれだけを告げると、またシーンと沈黙を守っている。
 …今のはなんだったんだろう、宣伝かな?
 ひとまず私は、コボクタウンの北に位置するショボンヌ城…そこに目星をつけて、コボクタウンでのメガシンカの足跡を探し始めることにした。

「ナナちゃんー!」
 ショボンヌ城に入ると、先客にサナちゃんがいた。
「お知り合い?ショボンヌ城に観光客が二人だなんてすごくにぎやかですね!」
 ショボンヌ城の管理者と思われるご主人は、とても侘しいことをさらっと言う。…つまりはここは、普段はそれだけ閑古鳥が鳴いている観光名所だということなのか。
「このお城…いわばシャトーは貴族のマナーハウスだったのです。ちょっと古めかしいですが、それは歴史があるからで、その歴史の中でみんなにいろんなものをあげたので広々とした感じです!終わり!」
 ご主人の説明はとてもざっくりとしていた。しかし辺りを見渡すに、他に見所がないのであろうことは伺い知れた。
「えーっ終わり?メガシンカに関係するモノとかないの?」
「終わりですし、メガシンカってなんでしょう?」
「…」
 依然として不満そうなサナちゃんに、外に出よう、と肩を叩いて合図をした。

その時。

「!」
 一人の町の人が、ショボンヌ城に駆け込んできた。
「だんな!またあいつが来たよ!」
「そんな時期ですか?といってもね、あたしなんにもできないですけどね…」
 ため息をついたご主人は、やれやれと言うように重たそうな腰を上げた。
「あたしは7番道路に行きますが、ゆっくり見学しててくださいね」

「なんだろう?」
 サナちゃんの問いかけに、私は黙って首を振る。
「どーする?サナたちも7番道路に行こっか」
 真相を知るにはそれしか…そもそも、進行方向が7番道路なのだから仕方がない、と私は頷いた。

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