そして、プラターヌ博士は本人が言っていたのと同じくらい弱く、決着はすぐについた。 「いやーまいったなー、すごいじゃないか!」 博士は頭をぽりぽりとかきながら、どこまでが本気か分からない表情で言う。 「だいたいわかった!」 「何がですか?」 博士の発言に、カルム君が不思議そうに首を傾げた。 「ナナシ!キミは面白いポケモントレーナーだね。よし!もう一匹ポケモンを連れていくといいよ!」 プラターヌ博士が取り出したのは、ヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの三匹のモンスターボールだった。 それを見た途端、胸がどくんと熱く高鳴る。この感覚、知っている。初めてフォッコを選んだ時と、同じ。憧れを追う人の、熱情。 「最初のポケモンはほのおで…そしてライバルは…」 「お隣さん?」 カルム君が怪訝そうな顔で覗き込んでくるのにも気づかずに、私はぶつぶつと呟き続けた。 「みずタイプだっ!」 迷いなくゼニガメのボールを取ると、博士は「さすが、タイプ相性もバッチリだね」と笑う。 博士にニックネームを尋ねられ、私はその場で慌てて読書用のメガネをかける。 「…お隣さん、メガネかけると雰囲気変わるのな…」 「カルムったら見過ぎだよ?本当にナナちゃんのこと好きなんだねぇ」 「だ、だからっ、違うって!」 隣でサナちゃんとカルム君の会話が繰り広げられているのにも気づかずに、必死で辞書をめくった。 「アサギ…浅葱色のアサギです!」 「おお、良い名前だ」 ボールの中のゼニガメと目が合う。少し笑ってくれた、気がした。 「ゼニガメを選んだのなら、このメガストーンも渡しておくよ」 「メガ、ストーン?」 私が聞きなれない単語に反応すると、博士は嬉しそうに続ける。 「そうさ!この世の不思議、メガシンカに関係しているものさ!」 <* | #> しおり+ もどる |