まっさらの姫君 | ナノ
ロ戦力拡大


「あっあなた、プラターヌ博士からポケモンをもらった子どもたちの一人でしょっ!」

 ジムリーダーのビオラさんの姉を名乗るパンジーさんに、お近づきの印にと、がくしゅうそうちを貰った。
 これを持っていれば、スイッチをオンにしているだけで、ポケモンたちが戦闘の経験を分かち合えるという優れた装置なのだそうだ。

 さっそく効果を試してみようと、私は4番道路でポケモントレーナーたちにバトルを申し込んでいた。
 ローラースケートの男性トレーナーとの勝負に勝った時、ソルの様子がおかしいことに気づいた。
「ソル?大丈夫?」
「キャウウ…」
 苦しそうな声、いつもより熱を持ったからだ。
 ポケモンセンターに一刻も早く連れて行ってあげなければ、と思った瞬間に、目の前がまばゆい光に包まれた。
「なに、これ…っ?!」
 光が鎮まると、そこには、フォッコの面影を残した、初めて見るポケモンがいた。
「ソル?…ソルなのね?」
「キャン!」
 元気よく答えてくれるソルに安心して、思わず抱きついてしまった。進化前よりも、体が熱い。ほのおタイプのポケモンなのだから、当然と言えば当然なのだが。
「はぁぁびっくりしたぁぁ…今度からは、進化する時はするって言ってね?」
「キャウ?」
 私の言葉にきょとんとするソルを撫でて、私は安心した体を地面に投げ出した。ソルに何かあったら死ぬんじゃないかと、本気で、思ってしまった。

 そんな時、鞄の陰にポケモンの姿が見えた。
 そのポケモンは、私の方を伺っては、テールナーになったソルと見比べている。
「あのー…な、何か用事かな?」
 話しかけるとビクッとして鞄の陰に完全に入り込んでしまうポケモンの名前は、確か…
「あなたはラルトス、だよね?」
 慌てて図鑑を操作すると、ラルトスは、明るい気持ちに寄り付きやすいらしい。ということは、ソルが進化して嬉しいという私の気持ちに釣られてやってきたのだろうか…?
「…うちの子に、なる?」
 控えめに尋ねてみると、ラルトスは少しきょろきょろと挙動不審な動きをした後、うん、と小さく頷いてくれたのだ。

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