私は目を覚ました。 白い天井。風に揺れる緑のカーテン。私を覗き込んで、涙でくしゃりと顔を歪める、中年の女の人。 ずいぶん長い間眠っていたような気もするし、ついさっきうとうとと眠りについたばかりのような気もする。 身じろぎしようとすると、腕にひんやりとした物が触れる。見ると、透き通った金色の丸い石がある。どうやら私は、この石を抱きかかえて眠っていたらしい。 知らない場所。知らない人。見覚えのない石。寝起きの頭で整理するにはあまりにもわけのわからないことが多すぎた。ぼんやりとした頭で、目の前の女の人に目線を向ける。 「ナナシ、目を覚ましたのね…!今、先生を呼ぶからね」 涙声で私の名前を呼んだ女の人は、私の横たわっているベッドサイドにあるボタンを押した。 この人はどうして私の名前を知っているの?私はどうしてこんなところに寝ていたの? 「あなたは…だれですか…?」 女の人がこちらを見て目を見開いた。 遠くからはばたばたと、誰かの足音が近づいていた。 <* | #> しおり+ もどる |