皆に内緒で作った、俺たち二人だけの秘密基地で。

笑いながら、お互い小指を絡め合った。

『―――』
『―――』
『じゃあ、ゆびきり!』
『うん!』






小指が熱を持ったようにじくじくと痛い。
その理由はきっと私だけが憶えていて、彼は忘れてしまっているに違いない。

それでいい。彼には必要の無いことだ。

「お前はエイリア学園追放だ…覚悟はいい?レーゼ」
「はい、グラン様」

はっきり答えると、グラン様は今までに見たことも無いくらい優しい笑みを見せた。これから起こることを暗示するような残酷な微笑み。
彼の手が私の方に伸びて、その指先がちょうど眉間の真ん中あたりで止まる。

私の左の視界に入った彼の右手の小指が、あの約束を思い出させた。
もうすぐ消えて無くなってしまうであろう、果たせなかった幼い日の約束。

懐かしい記憶を噛みしめるように大きく深呼吸。せめて毅然としているふりをして彼を見つめる。

グラン様は一瞬、冷たくて綺麗な顔をほんの少しだけ歪めた。
何故か泣き顔のように見えた気がした。

私との別れで彼が泣くことなんてあるわけないから、これはきっと最期に見る幻のようなものなのだろう。

そんな、都合の良いものばかり見える目なんか閉じてしまえ。
いつの間にか溜まっていた涙が瞼に押し出されて頬を流れた。

私が、彼のために必死で消し去ろうとした感情のひとかけら。

この感情が、想いが、涙と一緒に溢れてしまう前に。

私は彼の居た世界に別れを告げた。


「「……さよなら」」


キィン、と響いた金属音が頭を真っ白にして、私は床に崩れ落ちた。

無意識に伸ばした右手の小指に絡まる確かで微かな温度を感じ、

この温もりだけは忘れたくないと思った。






小指と小指で

愛しあう



(約束する、俺は)
(ヒロトを)(リュウジを)
(ずっとそばで守る)







――――――
まりあんこと、ゆらめきアンバランス。の鞠亜さんから強奪してきましたー^^

グランとレーゼになったとしてもお互い想い合ってるのが素敵すぎて思わず涙ちょちょ切れた…(´;ω;`)

ごちそうさまでしたああああ!!!
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