離れてたって繋がってる。

そろそろバレンタインデーが近いのに誉に会えずにいる。

前に会ったのは移動教室の時にちょっぴりすれ違った位で、それ以来会えていない。

寂しいっていうか、淋しいっていうか寂しすぎる。

だけど最近は進級前だったりとか部活だとかで誉も忙しいみたいだし…。

でもやっぱりちょっと位かまってほしい。

私は神話科で誉は西洋占星術科と科は離れているけど、会いに来てくれたっていいじゃないかと思う。

「誉に会いたいよ………。月子ちゃんはいいよね…部活で毎日誉に会えるんだから。」

「でしたら貴女も弓道部に入れば良かったじゃないですか。」

「青空くん…。確かにそうかもしれないけど今更入っても全然ついていけないもん。」

「言われてみればそうかもしれませんね。それなら金久保さんに会いに入ったらいかがですか?」

「誉から来てくれないって事は誉が忙しいからじゃないのかな?」

これは私が今思う一番当たっていそうな予感だった。

「どうでしょう?やってみる前から諦めては元も子もありませんよ?」

「うーん…。青空くんがそういうなら…行ってみる。」






――――――――――――

そして放課後。
私は西洋占星術科の3年生のクラスの近く迄来た。
誉を探していると見知らぬ3年生に話かけられた。

「あ、名字さんじゃない?」

「そ、そうですが…」

「同じ3年生だよね?よろしく!俺は………」

「あら?もう1人のマドンナちゃんじゃない?」

そう言って白銀先輩がやってきた。

「あ、白銀先輩!」

「あの…俺の話聞いてる?」

「ちょっと僕マドンナちゃんに用事があるんだよね〜。じゃあ君またね〜」

「え?………あの……。」

そんなノリで見知らぬ3年生から逃げる事が出来た。

「あ、あの白銀先輩?」

「なぁに?マドンナちゃん♪」

「私に用事って?」

「あー、誉から伝言だよ。」

『今、陽日先生に用事を頼まれてるから会うのはまた今度ね。』

「だ、そうだよ。」

「……また誉に会えなかった…。……ぅ…ぐす…」

「あー。泣かないでマドンナちゃん…」

「だ…だって先輩…。私…ずっとずっと誉に会えなくて…誉からも来てくれなくて……」

「誉はねいつもタイミング悪く用事を頼まれちゃってるんだ。だから誉はいつも君のところに行こうとしている。これだけはわかってあげて?」

「…分かりました。私、寂しくても我慢します…。」

「マドンナちゃんは偉いね〜。」

「そんな事ありませんよ?」

「いやいや、マドンナちゃんは偉いんだよ。」

キーンコーンカーンコーン。

「あ、チャイムですね。」

「今日はもう帰ろうか。帰り道は僕が送ってあげるよ。」

「ありがとうございます!」


――――――

「あ、さっき誉の彼女が誉の事探しに来てたみたいだぞ?」

「本当?なんだか悪い事しちゃったなぁ……。」

「なら後で電話でもかけてやったら?」

「そうしようかな。最近中々会えていないし。」

「あんなに可愛い彼女、寂しがらせるなよ。」

「僕も寂しがらせたいワケじゃないんだけどね…。タイミングが悪くて…」


――――――――――

その日の夜。

「明日はバレンタインデーだし、誉にはトリュフ作ってあげよっ♪」

そう言って私はレシピの紙を出した。

「えーっと。材料は生クリーム…チョコ………」

ぶつぶつと喋りながらもトリュフはうまく出来上がっていく。


…………………

…………………………


「出来たっ!我ながら完璧っ!これなら誉に渡しても恥ずかしくなんかないかも。」

空耳か携帯かなっている気がした。

「あれ?この着信音って誉から?」

本当に鳴っていると分かると、私は駆け足で携帯を取りに行く。

電話に出ると懐かしい声が聞こえた。

「久しぶり名前。」

「久しぶりっ!ねぇ明日、ちょっとだけ時間あけておいてくれない?」

「いいよ。僕も元からそう言うつもりで電話したんだ。」

「偶然だね〜」

「そうだね。じゃあ明日も早いからもう寝ようか。」

「そうだね。おやすみ、誉。」

「おやすみ、名前。大好きだよ。」

「私も誉が大好き!」

そうして電話は切れた。


「明日やっと誉に会える……。今日はちゃんと寝なくちゃ。」



――――――――――――

当日。
私はいつもより早く学校を出た。

「誉に会うの楽しみだなぁ…」

なんて考えているうちに1日は過ぎていった。

キーンコーンカーンコーン。

「あ。放課後だっ!」

「最近寂しがらせちゃってたから名前の事迎えに来たよ。」

「ありがと誉っ!じゃあ屋上庭園いこ?」

「いいよ。」

そうして私達は屋上庭園に向かった。

「誉とこうして会うの久しぶりだね。」

「そうだね…。ずっと会えなかったから寂しかったよ。」

「私もすっごい寂しかった…。」

「ゴメンね。」

ちゅっ。

「ほ、誉っ!いきなりはびっくりしたよ。」

「ゴメンゴメン。しょんぼりした名前があんまり可愛いものだから、キスしたくなっちゃった。」

「誉ってばー。あ、そうだ!今日バレンタインデーでしょ?チョコ作ったんだよっ!」

「本当?凄く嬉しいよ。」

「誉が嬉しいなら良かった。はい、どうぞ。」

私は可愛い包装に包まれたトリュフを渡した。

「可愛い包装だね。名前らしくていいよ。チョコも凄い美味しそう。」

「沢山褒めてくれてありがとね。」

「いえいえ。あ、そうだ。」






れてたって
繋がってる








――――――――

お久しぶりです。
バレンタインから1月も経ったのに全然うpしていなくて申し訳ありません……。
なんだかリクエストとちょっとだけ違う感じになってしまいました…。

こんなものでも喜んでいただければ幸いです。

お持ち帰りは和莎様のみ可です。

2011/03/29









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