「今度の休日にデートでも行きませんか?」
颯斗くんにそう言われたのは昨日の放課後の事だった。
私と颯斗くんは付き合って3ヶ月になるというのに、いまだに恋人同士らしい事はしていない。
同じ神話科ではあっても、あまり話をしたりする事もなく……不安になっていた矢先に颯斗くんからお誘いがきた。
そして当日。
颯斗くんとの約束の時間まで時間がないというのに、中々バスがこない。
冬で若干雪が降っているという事もあってか視界もあまりよくない。
「…颯斗くん、待っててくれてるかな?」
さっきから電話をかけてはいるが、出てはくれない。
「…もしかして嫌われちゃった?」
泣きそうになりながらボーッとしていると、バスが来た。
そしてバスから降りて約束の場所に行くと、案の定颯斗くんはいなかった。
雪が降るなか周りを見渡して、しゅんと凹みながら近くのベンチに座っているとふと後ろに誰かの気配がした。
「なんで悲しい顔をしているんですか?僕はしっかりここに居ますよ。」
そう言って後ろから抱き締められた。
「颯斗く…」
私が振り返って颯斗くんと言い終わる前に優しいキスをされた。
これは颯斗くんとする初めてのキスだった。
「全く、僕が名前さんの事をどれだけ心配したと思っているんですか?」
「…ゴメンね。バスが中々来なくて…、しかも颯斗くん電話しても出てくれなかったから…」
話しながら私は泣きそうになる。
「電話してくれてたのに気付かなくてすみません。少し買い物に夢中になっていて気付けなかったみたいです。」
颯斗くんが夢中になるなんて、何を買っていたんだろ?
「こんなところにずっといるのもなんですから、街中を周りませんか?」
「う、うん。」
「手、繋ぎませんか?バスを待っていたのならさぞかし冷えたでしょう。」
そうして手を繋いでみると、颯斗くんの手はぬくもりで一杯だった。
「颯斗くん、あったかいね。」
「それなら良かった。名前さんを暖めてあげるのは僕の役目ですからね。」
颯斗くんのさり気ない一言にきゅんとした。
「手、繋ぐの初めてだね。」
「そうですね。生徒会が忙しくて二人きりの時間が少なかったですし…。」
こうして初デートも終わりに近づいていて、もうすぐ寮の門限というところまできていた。
「寮まで送ってさしあげます。女性を一人で帰らせるわけにはいきませんから。」
「ありがとう、颯斗くん。」
「いえいえ。」
今日は幸せな日だったなぁなんて考えていると、もう寮の目の前だった。
「今日は楽しかったよ。また今度デート行こうね!」
「はい。」
「それじゃあ送ってくれてありがとね。また明日。」
「ちょっと待って下さい。僕からプレゼントがあるんです。少しだけ目をつむってていただけますか?」
「ん?うん。」
薬指に何かの感覚がある。
「目を開けて下さい。」
私はそっと目を開けてみる。
「わぁ凄い綺麗な指輪…もしかして颯斗くんこれを探しててくれたの?」
「はい。名前さんに喜んでほしくて。あと、これをいつも付けていれば名前さんに手を出す人はいなくなるでしょう?」
「ありがとう颯斗くんっ!私、凄い嬉しい!ただなんか颯斗くんから黒いオーラ出てるよ?」
「気のせいですよ。」
「そう?気のせいならいいんだけど。」
「じゃあそろそろ冷えますし、また明日会いましょう。」
「そうだね。また明日ね。」
「はい。また明日。」
たとえ貴方が僕を見失っても、僕は必ず貴方を見つけます。
だって僕達は
赤い糸で繋がっているから。
――――――
如何でしょうか?
いつもより長ったらしく書いてしまいましたっ(><)
しっかりリクエスト通りになっているでしょうか?
リクエストしていただきありがとうございましたっ!
リクエストしていただいた奈月様のみお持ち帰り可です。
2900HIT Thank you
神咲 恋華
2011/02/08