好きな人にこんな事言われたら、誰だって勘違いする。
かくいう僕も、最初は驚いた。用も無いのに名前を呼ばれたり、無駄にスキンシップが多い。挙句には好き≠セの可愛い≠セの・・・・
これを男女問わずに言うものだから、隣接してる白谷女子高等学校≠フ女生徒やうちの一部のファンから告白が絶えない。(全部断っているみたいだけど・・・)



この大きな悩みを抱え、和希会長をいつもの様にいなしながら入学式は滞りなく終わった。
生徒会役員やその他の手伝いの生徒は講堂の片付けを始めていた。


「天木ー!会長知らない?さっきから居ないんだけど・・・」
「あの人はまた・・・わかった、探してくる」
「おう、頼んだー!!」


和希会長を探しに講堂を出たが、案外あっさり見つけることが出来た。


「(またサボって誰かと喋ってるし・・・)」


和希会長の他に2人居た。1人は黒崎律也先輩、頭が良くて確か和希会長の親友。
もう1人は真新しい制服に身を包んで、緑のネクタイを締め胸に新1年生の証である花のコサージュをつけている。
キレイな顔だけどおとなしそうな子だった。


それと同時にあの子が噂の幼馴染なんだ、と確信した。



「和希、副会長が迎えに来てるぞ。お前またサボってきたのか?」
「あ、やべ・・・じゃあ莉都、あとで家行くから!待ってろよ!!」
「いいよ来なくても、お祝いもいらないから。」
「絶対行くし、ぜーったいお祝いもするからな!!じゃあ律也任せた!」
「はいはい、行こう莉都」


僕がボーっとその状況を見てると急いで和希会長が走ってきた。


「直ー!ごめんごめん、少しだけ話すつもりだったんだけどさー・・・って直?おーい?」
「あ、すみません・・・あの、今の子が幼馴染ですか?」
「え、あっそうそう!!かわいーだろ?目に居れても痛くない!!」
「親ですか、あなたは」
「いや〜それほどでも!あ、そうだ、あいつ弓道部入るんだって!直、弓道部だよな?」
「そうですけど・・・」
「あいつちょっと生意気な所あるけど、可愛い奴だからさ!仲良くしてやってくれよな!」
「・・・はい」


和希会長があまりにも嬉しそうな顔で話すものだから、本当にあの子のことが好きなんだなって気づいてしまった。
本当にわかりやすい人すぎて、落ち込むヒマもない。



元から和希会長に好きな人が居る≠ニいうことは知っていた。
本当なのか噂なのか、怖くて詳しく知ることはできなかった。
でも、あの子を見る和希会長の顔を見たら、その好きな人≠ェあの子なんだって事はすぐに分かった。







初恋は実らないものだって分かっていたけど、
1年前に恋に落ちた日に失恋が決定するとは思ってもいなかった。









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