あれから私は幸村に強引に連れていかれてとある高層マンションの前に来ていた。



『……なにこれ』


「俺達の新居だけど?」


『いや、ふざけんなし』


「いや、ふざけてないし
ほら行くよ」


『ちょっ引っ張んないでよ、ぎゃぁぁぁぁぁっ』


幸村はそう言うと私を無理矢理引っ張って入口に入り、エレベーターへと突っ込んだ。


こいつ綺麗な顔して無駄に力あるな……


「さすが跡部の買ってくれたマンションだね
エレベーターも高級感漂ってるよ」


『私はもうこのマンションの全てにびびってるよ……って跡部って誰?』


「んー
俺の下撲かな?」


『それ絶対違うでしょ』


「今年の誕生日にマンション欲しいってふざけて言ったらほんとに買ってくれたんだよねー、フフフ」


『誕生日にマンションとかどんな金持ちなんですか……』


「結構な金持ちかな?
さぁ着いたよ、行こうか」


エレベーターの階数を知らせる音が鳴り、私はまた幸村に引っ張られエレベーターを降り部屋へと入った。


部屋に入ると中は私の想像を超える豪華さだった。

ごくごく普通の家庭で育った超庶民の私はテレビでしか見たことのない光景にただ呆然としていた。


どうやら跡部くんは相当なお金持ちみたいです。


「どう?気に入った?」


『超庶民の七瀬さんは豪華すぎて軽く引いてます』


「大丈夫、住めばすぐ慣れるから」


『安心して、住まないから
それに住む住まない以前に親が許してくれないよ』


「あ、そこの所は平気だよ
ちゃんと許可とったし」


『………はい?』


「気になるなら電話してみれば?」


『………う、うん』


そうして私は幸村に言われるがまま半信半疑で携帯でお母さんに電話をかけた。

お母さんはいつもと変わらない調子で電話に出た。


《あら、はな
そういえば今日からそっち住むのよね》


『ちょっと、お母さんそれどういう事なの?』


《え?この前幸村くんが家に来て娘さん下さいって言うからいいわよーって言って、じゃあ同棲もしていいですかって言うからいいわよーって》


『軽っ!
なんでその時私に何も言ってくれなかったの?』


《だって幸村くんがサプライズしたいから内緒にして欲しいって言ってたんだもの》


『……………』
(あの野郎)


《それにしても幸村くんて綺麗な顔してるわよねー
お母さん最初見た時ジ○ニーズかと思ったもの
あ、お父さんもちょっとへこんでるけどおめでとうって言ってたから安心してね》


『その事なんですけど私、同棲しないから家帰るね』


《え?それは無理よ》


『へ、なんで?』


《お父さんが来週から海外に転勤するからお母さんも一緒に行く事にしたの
で、あんたも同棲しちゃうし使わないからお家だったマンション引き払っちゃったのよ》


『う、嘘でしょ?』


《ほんとよ
でもタイミングよくてよかったわー
あんた一人暮らしさせるのは絶対嫌だったのよ》


『お、お母さん、冗談だよね?』


《しつこい子ね
嘘じゃないって言ってるじゃない
じゃあ孫の顔楽しみにしてるからね、ばいばーい》


お母さんさんはそう言い残して電話を切った。
電話のツーツーという無機質な音が私にはとても虚しく聞こえた。


「お義母さんなんだって?」


『…………孫の顔楽しみにしてるってさ』


「さすがお義母さんわかってるね」


『幸村くーん
とりあえずお義母さんて言うの止めようか?
それと私もう帰るから』


「帰る家もないのに?」


『(ギクッ)どうにかするもん』


「一人暮らしするわけ?
でもお義母さんは一人暮らしさせるの嫌みたいだし無理なんじゃない?
そうなると野宿とかになるけど?」


『(ギクギクッ)……………』


「さぁ七瀬
俺と同棲するのと路頭に迷うのどっちがいい?」


幸村はそう言って笑顔で私に究極の選択を求めた。


確かにお母さんは私に一人暮らしさせたくないらしい。一人暮らしするだなんて言ったら絶対反対されるだろうし、だからと言って他のアイディアなんて思いつかない。


だからもうこうするしかないんだ……
私は決心して重い口を開いた。





『…………………幸村と住みます』


「うん、いい子だね」


『言っとくけど同棲じゃなくて同居だからね!』


「フフッ、照れ屋さんだね七瀬は
これからよろしくね」


『お前とよろしくなんてするかぁぁぁぁっ!』



そうして握手を求めてきた幸村の顔を見たらなんか悔しくて私はそう言い捨てると脱兎のごとくトイレへ逃げ出した。




お父さん、お母さんそしてみっちゃん……

はなはこれからの生活の事を思うと不安でしょうがないです。

























なんですかね。これ。

あんな話の後にこんな事してしまったのにただただ反省です。

あと高級マンションがどんな感じかわからなくて適当な感じになってるのはスルーしてもらえると嬉しいです(無理だから)

だって庶民だもの!住んだ事ないもの!←


100404






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