1時間目が終わった後の休み時間、携帯を見るとメールが1件来ていた。

メールは仁王からで
『お前の嫁がサボってるぞ』
とだけ打ってあった。

多分七瀬の事だ。

仁王はいつも屋上でサボっているからきっと今日もそうだ。
俺は屋上へ走った。


「来るの遅いぜよ」


屋上に着くと座って携帯をいじる仁王がいて、そして隣には寝ている七瀬がいた。


「仁王と違って真面目に授業受けてるからね」


「プリッ」


「で、なんで七瀬と一緒なの?」


「音楽の授業がかったるくてサボろうと思って屋上に来たらここに寝転んでたんじゃ」


「へぇ、そうなんだ」


「昨日寝てないみたいだのう
相当ぐっすり寝とる」


「そっか……」


「……さて俺は真面目に授業受けてくるかのう
お前さんと違って真面目じゃからな」


「ふふ、じゃあ部活で」


俺がそう言うと仁王はいつものようにポケットに手を突っ込んで屋上の階段を降りて行った。


そして七瀬は俺達がしゃべっていたにも関わらずやっぱりぐっすりと寝てた。
こうして見るとまつげ長いんだね。七瀬って。
本人にこんな事言ったら怒られそうだけど。

寝てない理由はきっと昨日、俺にブン太が好きな事が知られていたからだろう。

あの時の七瀬は泣きたそうな顔が今でも忘れられない。

どうしてあの時彼女を引き止めて話を聞いてあげなかったんだろう。そればかり思う。

そんな事を思っていると寝ている七瀬が何か言い始めた。


『…んっ』


「七瀬?」


『…ん…た』


「え?」


『ブン太……』


彼女はそう言うとまた眠り始めた。
目から涙が流れ落ちていた。

俺はどうする事も出来なくて、ただ泣いている彼女を見る事しか出来なかった。

それから放課後まで彼女の目は覚める事はなく、結局俺は1時間目以外の授業を全てサボってしまった。

まぁ読みたかった本もじっくり読めたしたまにはいいよね。
毎日やったら仁王に示しつかなくなるけど。

放課後になって少し肌寒くなり、このままだと風邪をひくから七瀬を起こそうと思っていたら彼女はもう目を覚ましていて驚いた顔をして俺を見ていた。


「あ、やっと起きた」


『え?なんで幸村くんがいるの?
てか幸村くん私に何もしてないないよね?』


「そんなー
俺だってこんな所で行為には及ばないよ」


『そう生々しい発言止めてもらえますかね』


「ふふふ、照れ屋さんなんだから
で、何でサボってたの?
ブン太の事?」


俺はそう出来るだけ優しく言った。
もう泣いている彼女は見たくないから。


『あのさ……』


そして彼女は何か決心したような顔をして話し始めた。


















幸村sideみたいな。
国語を勉強しようと強く思いました。

ヒロインが寝る前に仁王が携帯でメールしていた相手は幸村でしたという裏話。


100311






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