「あんたもったいなさすぎるよ!」


『いや、だって……』


「言い訳するなぁぁぁ!」


『………すみません』


魔王……じゃないや幸村くんが私に宣戦布告という名のプロポーズをしてきてから数時間経った放課後、私は行きつけのカフェで親友のみっちゃんに叱られていた。

なぜかって?
幸村くんのプロポーズを断ったからです。

みっちゃんいわく幸村くんにプロポーズされるなんて自分の家の庭から石油が出て来るぐらいすごい事だそうだ。

それってほんとすごいね。はなびっくりー
ああっ、そんな目で見ないで下さい。ふざけてすみませんっ。


「あんた何で断っちゃったの?」


『だから何度も言ってるじゃん
私はイケメン外人ポール(仮名)と結婚したいんだって』


「それ本気だったの?
断りたくて苦し紛れに言ったんだと思った」


『違うよ、本気
ポールと結婚して可愛いハーフの子産むんだもん』


「でも幸村くんと結婚しても幸村くんの遺伝子だったら相当可愛い子産まれると思うよ」


『あーだめだめ
可愛くても魔王に育っちゃうもん』


「ふふふ
それは心外だなぁ、七瀬」


あれ、なんか幸村くんの声がするなと思って振り向くとそこにはニコニコ笑う幸村くん本人がいた。
何だこの神出鬼没具合は。


『で、でたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ』


「酷いなぁ
人をおばけみたいに」


『いやいや、お前はおばけ以上にたち悪いから!』


「それより幸村くん部活はどうしたの?」


「ああ、今日はオフになったんだ
それでそこ歩いてたら君達見かけたんだよね
ブン太からメール来てない?」


「あ、来てた!
はなごめん今からブン太と帰る事になっちゃった
あ、この際だからこのまま幸村くんとお茶したら?」


『絶対やだ』


「あんたって子は……
まぁいいや、じゃあまた明日ねー」


『うん、ばいばーい』


私はそう言ってみっちゃんにひらひらと手を振った。
そしてさっきまでみっちゃんが座っていた席に座っている幸村くんにガン見されているのはなぜだろう。
言っとくけどお前とお茶なんてしないからね。


そんな事思いながらガン見してくる幸村くんを睨みつけていたら幸村くんが急にしゃべりだした。


「七瀬、ほんとはポールなんてどうでもいいんでしょ」


『え?』


「七瀬ほんとは……『やっばーい大変だ!』


『私とてつもなくお腹減ったから今から家帰らなきゃ!
ほら、ここは私がおごるから帰ろう』


「いや、おごるも何も俺何も頼んでないんだけど」


『あれ、そうだっけ?
ダメだなぁ最近ボケちゃって……』


「七瀬……」


『幸村くんそれ以上言うと一生許さないから……
じゃあね』


幸村くんにそう言い捨てて私は逃げるようにお店を出た。

ずっとずっと隠し続けてきたのに。
誰にも知られたくなかったのに。
どうして分かってしまったんだろう。







私がブン太を好きだって。













次こそは立海のみんなを出したいっ!←

100301






- ナノ -