「やぁ、白石久しぶりだね 四天宝寺はもう着いてたんだ」 「幸村くんも久しぶりやなぁ で、後ろの子どないしたん？」 「え？ちょっとお仕置きしただけだよ」 笑顔と言ってる言葉がミスマッチですねって言ってやりたかったけどここはやめといた。 ちょっとだなんてとんでもない。 合宿先に行くバスの中でブン太と仁王くんと話が盛り上がってた私に「フフフ、いい度胸だね」って言ってちぎれるくらいほっぺた引っ張ってきた行為のどこがちょっとなんだ。 おかげでもう合宿先に着いたというのにほっぺたがさっきからおかしい。ヒリヒリする。 「………不憫な子やな」 そんな事を思いながら疲れきった目をしてたら何かを察したのか幸村と挨拶してたイケメン関西人がそう言ってくれた。 なんていい人なんだ。心もイケメンだよ、この人。 「わ、わかってくれます？」 「七瀬？」 「さーてマネージャーの仕事しなきゃなぁ」 ああああ、危なっ！ 殺られるとこだった。 きっとまたほっぺたやられてたらちぎれてたよ。 それから私はイケメン関西人･白石くんが部長をしている四天宝寺高校の部員を紹介してもらい、一旦部屋に荷物を置きに行くことになった……んですけど 「……迷った？」 迷子になりました、てへ そもそもここの施設は異様にでかい上にリッチだ そしてついでに私は重症なくらいの方向音痴、迷うはずだよね でも今から全体で集まって挨拶があるのにこのままじゃ遅れてしまう。 遅れたら私は確実に幸村にいびられるだろう。それだけはなにがあっても避けたい。 そんな時私の目の前を人が通った。 ｢あ、すみませんテニスコートに行くにはどうし…あ……｣ ｢は？｣ 不幸にもそこにいたのは朝いろいろ言われたら切原くんで、私を見るなりとても不快そうな顔をした。 どうしよう 切原くんほんと怖い。 だけど今聞かないと後(幸村)がもっと怖い。 意を決した私は恐る恐る切原くんに話しかけた。 ｢あ、あのさあ テニスコートってどこだか知らない？迷っちゃってさ、あはは｣ ｢は？誰が教えるかよバーカ｣ 切原くんはそう言うと私を見下したように見てどこかへ行こうとした。 だけど私はそれを許さなかった。 ｢切原くん｣ ｢んだよ 気安く呼ぶなよ｣ ｢いい加減にしろこのやろう！ いくら気に食わないからってそんな態度取っていいと思ってるの！？ ていうかバカって言ったでしょ？言ったよね？｣ さすがにあんなにバカにされて黙ってはいられなくて爆発してしまった。 すると切原くんも言い返してきて私たちはけんか状態となった。 ｢だからなんだよバカ女｣ ｢おい今また言ったでしょ ふざけないでよ！ このもじゃもじゃ！モンジャラ野郎！｣ ｢てめぇふざけんなよ！｣ そう大きい声を上げられて殴られそうになり私はとっさに目をつぶった。 でも殴られることはなく代わりに目の前には ｢危機一髪ってとこやな 七瀬さん大丈夫やった？｣ 四天宝寺の部長白石くんがいた。 どうやら白石くんが間一髪で切原くんが殴ろうとするのを止めてくれたみたいだ。 ｢切原くん女の子殴ったらアカンで｣ ｢だって白石さん そいつがいけないんです……｣ ｢相手がいけなくても暴力で解決するのはちゃうで それにIH近いのに女の子に暴力奮ったなんてバレたら幸村くんたちにも迷惑かかるんや、次から気いつけてな｣ ｢はい、白石さんすいませんでした｣ 切原くんは白石くんにそう言われると素直に大人しくなった。 白石くんてすごい人だ。 あの切原くんをあそこまで飼い馴らす(？)なんて！ ｢ほな切原くん 七瀬さんにも謝り｣ ｢それは嫌っス｣ ｢ちょっと、なんでよ！｣ ｢せやで、切原くん！？｣ ｢俺、白石さんに何言われようとぜーったい謝りませんから じゃあ俺はこれで｣ そう言うと切原くんはポカンとする私とびっくりした様子の白石くんを残して歩いて行った。 切原くんはやっぱり私が嫌いみたいだ。 だけどこんな感じでマネージャーの仕事したってお互いギスギスして逆に合宿の邪魔になって私は幸村にシメられて切原くんも練習にならない。 そんな最悪の事態だけは避けなければ……… ｢よしわかった｣ ｢え、七瀬さん？｣ ｢白石くん、私絶対に切原くんに認めてもらうから｣ ｢はあ｣ ｢そういうわけでまずはマネージャー業完璧にやらなきゃね！ さぁ行こう！白石くん！｣ 私はその決心を胸に廊下を走り出した。 (……幸村くんもずいぶんおもろい子好きになったな) ｢待ってろ切原くーん！｣ (あと集合場所と反対方向に走って行ったんやけど止めた方がよかったんやろか………) その数分後 迷子になって遅れてきた私は幸村にいびられるのでありました。 久しぶりすぎておかしいｗ 四天宝寺高校は中学とメンバーは一緒で行きます、というか行かせて下さい。 110503 ←→ |