「ほら七瀬、自己紹介して」


『七瀬はなです
幸村に無理矢理来させられました、正直帰り「ん?」……すいません嘘です
でも来たからには仕事はちゃんとしたいと思ってるのでお願いだから蹴らないで下さい』


「のうブンちゃん」


「なんだよ」


「七瀬はどんだけかわいそうなんじゃ」


「そうだな、同情しちゃうよな……」


『そこ、人を痛い子見る目で見んなや』



朝7時、せっかくの休みだけど私は学校でテニス部レギュラーの前で自己紹介させられていた

そうです、今日から「テニス部と行く!ワクワク合宿ツアー!」の始まりなんです


この時期に毎年他校と合同で行っている合宿だそうで、IH前の調整的な感じらしい
ちなみに合宿は4日間でレギュラーのみの参加みたいです


だけど幸村たちはこのIHで引退だからこの合宿はかなり重要なはずなのに私みたいな部外者が来ちゃっていいのだろうか……

真田くんとか怖いもん
私来た時からなんか顔怖いもん


「七瀬、俺は柳蓮二だ
合宿中はよろしく頼む」


『うん!よろしく!』


私がそんな事を思い死にかけだった中、柳くんが声をかけてくれた
さすが柳くんいい人だ


「七瀬はな
立海大附属高等部3年C組
部活は帰宅部
全てにおけてそこそこ
好きな食べ物はベビースター
身長158cm、体重『ストップゥゥゥゥゥゥ!!』チッ」


『え、なにその舌打ち
ちょっと待て、なんか私が悪い事したみたいになってるんだけど!
全てにおけてそこそことか体重公表とか柳くんどんだけ私嫌いなの!?』


「嫌いではない
まぁそこそこの割にはおもしろいと思っている」


『………この人嫌だ』


「大丈夫ですか?七瀬さん」


柳くんにいじめられて傷心しきった私をそう言って柳生くんがなぐさめてくれた
前言撤回します
いい人は柳生くんです


「そこそこの女性にもそこそこの魅力があると思うので元気を出して下さい
私は好きですよ、そこそこの女性」


「柳生、フォローになってないナリ
見てみんしゃい、そこそこガールがさっきよりも悲しんどるぞ」


「まぁまぁおれのポッキー1/2本やるから泣くなよ
な、そこそこガール」


『お前達さっきからそこそこそこそこうるせーよ!』


「フフフ、七瀬が1番うるさいんだけど」


そう言うといじられまくってキレている私以上キレてらっしゃる気がする幸村が私の頭を全力で掴んだ
これほんと痛い、どんだけ私のこといたぶりたいんだこいつは


『ご、ごめんなさい!
だからそんなに頭ガッて掴まないでよ痛いからぁぁぁぁ!』


「お仕置きだから痛くて当然じゃないか」


『ほんとすいません
もうありえないぐらいすいません謝るんで許して下さい』


「しょうがないな
次やったら埋めるから」


幸村はそう言って私の頭から手を離すと柳くんと一緒に爽やかにこれから合宿場所へと向かうバスの方に歩いて行った

そんな私を見てブン太と仁王くんはゲラゲラと笑っている

こいつらほんと最悪だ

すると私の肩にポンと手を乗せた人がいた


「七瀬、頑張ろうぜ……」


「七瀬、辛くなったらいつでも話を聞くぞ
残念だが助けてはやれないがな……クッ……すまない……」


振り向くとそこには悲しそうな笑顔で親指を立ててるジャッカルくんと目頭を押さえている真田くんがいた


……あぁ真田くん
怖いとか言ってごめん
あなたは私のかけがえのない仲間だったんだね!


『真田くん、ジャッカルくんありがとう!
私頑張るよ!さぁ友情の握手を……』


「ああ」


「うむ」


私と真田くんとジャッカルくんが友情の握手をしようとした瞬間だった


「俺は反対っす」


そう大きな声で叫んで私の方へ歩み寄って来た人物がいた


2年生唯一のレギュラーである切原くんだった


「部長とつき合ってるんだかなんだか知りませんけどこの大事な時期にこんな部外者入れるとか迷惑です」


「赤也、はなには合宿中の身の回りをやってもらうんだからそんな言い方はないんじゃねーの?」


「いくら丸井先輩が言ったって俺は認めませんから、帰って下さい」


そうして切原くんはブン太の言葉にも耳を傾けず一人バスの方へ向かって行った


どうやら私は切原くんにかなり嫌われているみたいだ




この合宿、波乱な予感がしてならないです







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