お返しをあげよう
日曜日の午後
やる事もないし家で暇つぶしにだらだらとテレビを見ているとインターフォンが鳴った。
人の優雅な日曜日になんだよと思って玄関の扉を開けたら
『はいはーい……って幸村?』
玄関には私の彼氏である幸村がいて私を見た途端笑いだした。
仮にも彼女に向かってなんて失礼な奴だ。
「お前普段着に中学校の時のジャージ着てるの?だっせー」
『う、うるさいなぁ
家にいるだけなんだし、楽なんだからいいじゃん』
「いいんじゃない?
超似合ってる!」
『ジャージ似合ってるって言われても嬉しくないんだけど……
で?なにか用?』
「ほら今日はホワイトデーだから」
『あ、忘れてた』
確か先月の14日に幸村に脅されてチョコレートをあげたんだった。
ホワイトデーにお返しくれるなんて意外と律儀だったんだね。
#名前#感心しちゃったよ。
「お前に感心されても嬉しくもなんともないんだけど」
『ちょっ、勝手に読まないでよ』
「読まれる方が悪い
それより今日家族は?」
『みんなでかけちゃったけど……』
「へぇ、そうなんだ」
『だからなんなの…ってぎゃぁぁぁぁぁぁあ』
幸村はそう言うと家の中に入り、ぼーっと立っていた私を属に言うお姫様抱っこした。
どうしようとても嫌な予感がする。多分このまま行くとヤられる。
そういう行為はもう何回も経験しているけどやっぱり慣れないし、恥ずかしい。
要するに出来るだけ避けたい!
私は手足をじたばたさせてどうにかして下りようとしたけど幸村の力が強くて無理だった。
そういえばこの人こんな美人だけどあのテニス部の部長だった……
『幸村ぁぁぁ下ろしてよぉぉぉ』
「お前の部屋どこ?」
『二階の1番奥…ってなんで私の部屋!?』
「まぁまぁ」
『まぁまぁじゃないよ!
あー嫌な予感的中したよー!』
……なんで嫌な予感ほど的中するんだろう。
幸村は私をはお姫様抱っこしたまま部屋に入れベッドに座らせた。
ああもう好きにしなさいよって感じで諦めムードだった私に幸村はポケットから小さくてかわいい箱を取り出して渡した。
『え?なにこの箱?』
「だからホワイトデーのお返し」
『開けてもいい?』
「いい『きゃーかわいー』ってもう開けてるじゃん」
開けるとそこには赤いハートの石が付いているシルバーリングがあった。
それは私が前から見るたび欲しい欲しいと騒いでいたシルバーリングで覚えていてくれたのかと思うと嬉しかった。
あとサイズがぴったりでいつどこで測ったのか少し恐怖を感じたのは私だけだろうか。
『幸村!ありがとう!
大切にするね』
「うん、ほら付けてあげるから指貸して」
幸村は私の左手を取ると薬指にそのシルバーリングを付けてくれた。
なんか照れ臭かったけどすごく幸せな気分だった。
『……なんか結婚式みたい』
「ふふ、あと数年経ったら本物付けてあげるよ」
『指輪、めちゃくちゃ大きいダイヤ付きじゃないと嫌だからね』
「わがまま」
そう言うとどっちからともなく2人して笑いあった。
幸村がベッドにいる私の隣に座ってきたから私はもたれかかった。
ほんとに幸せだ。
でも幸村は私の事想ってお返し選んで買ってくれてたのに犯されるとか言って悪い事言っちゃったなぁ。
『幸村ごめんね』
「何が?」
『私、さっきお姫様抱っこされた時に絶対「ホワイトデーだから」って理不尽な理由で幸村に犯されると思ってた……』
「何?ご希望ならそうしてあげるけど」
『いや、遠慮します
だって恥ずかしいもん!』
「いやいや、遠慮しなくていいよ」
そうして私は幸村にいとも簡単にベッドに押し倒された。
ああ、余計な事言った私のばか……
「手加減しないからね」
『……明日学校行ける程度にお願いします』
……でもまぁ幸せだしいっか
そして私は幸村にキスをした。
次の日
(腰痛い……)(誘ってきたそっちが悪いんでしょ)(ふ、ふざけんな)(じゃあお返し返せ)(嘘でっす☆)
ホワイトデーねた。
中学校のジャージって意外と着ますよね←お前だけだよ
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[mokuji]
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