あめのひ



雨の日の今日、いつも通り電車に乗っていると懐かしい赤い髪の高校生を見つけた。


彼も私に気づいたようでちょうど空いていた私の隣に座るとあの頃と変わらない笑顔を向けてくれた。


「久しぶりだな、なまえ」


『久しぶりだね、ブン太』


「いつぶりだっけか
最後に会ったのが高1の夏だから……」


『2年ちょっと前ぐらいじゃない?』


「なんかあんなに毎日会ってたのに不思議だよなぁ」


『ほんと、前じゃ信じられないよ』


ブン太と私は中学時代、あんなにもクラス数が多かったにも関わらず3年間クラスが一緒だった。

ブン太とは仲がよかったけど卒業してブン太が立海、私が氷帝の高等部に入学してからは会うことも電話やメールをすることもなくなっていた。

そんなことを考えながら懐かしさに浸っているとブン太が急にしゃべり始めた。


「なぁ、お前って今彼氏いるの?」


『うん、忍足くん
知ってるでしょ?』


「あいつかー
まぁいいんじゃねぇ?」


『なにそれ
ブン太は?』


「まぁそれなりに」


『そっかそっか……』


中学時代の私はブン太のことが好きだった。
周りからブン太も私のことが好きだという話も聞いていたが、なんだか恥ずかしくて、素直になれなくて、結局想いを伝えることはできなかった。


今でも思う、あの時言えていたらどうなってただろうなんて。
忍足くんに出会わなかったら今でも好きだったのかって。


でも私は今が幸せだ


友達がいて
家族がいて
忍足くんがいる今が幸せだ


あの頃の私はブン太を好きだったけれど、別々の道を歩み、新しく大切な人ができて、そんな毎日を幸せだと思えるということは、あれはもう懐かしい思い出になったということ。


今のブン太はどうなんだろうか………


『ブン太』


「なに?」


『今、幸せ?』


「なんだよ、急に」


『幸せ?』


「まぁな
テニスもやってるし、仲間もいるし、好きなやつもいるから幸せだろうな」


『そう、』


ブン太も今を幸せと感じているのであればもうあの頃は私たちにとっても懐かしい思い出になったということだと思う。


「ほんとなんだよ急に
変なやつだな」


そう言うと彼女からメールが来たのか、ブン太は鞄から携帯を取り出した。

ふと見るとブン太の鞄は閉めたはずなのに少し開いていた。
中学時代からの癖、何度言っても少し開けたまんまにする。
最終的に「癖なんだから仕方ねぇだろい」ってキレたっけな。


その癖でさえ愛しかった
笑ってる顔もテニスしてる時もなにか食べている時も、彼の全部が愛しかった。


ほんとに大好きだったんだ





『私ここで降りるねバイバイ』


ガツン


「いってぇぇぇっ!
お前なにするんだよい!」


降りる駅のアナウンスが聞こえたのでメールに夢中になっているブン太の頭にふざけて鞄をぶつけると頭をさすりながら睨まれた。


『また会おうね』


「お、おう」


多分笑えてそう言えたと思う。



駅を出るとさっきまで降っていたはずの雨は止んでいた。

そして私は携帯を取り出すと電話をかけた。


『もしもし』


[どうしたなまえ?]


『ねぇ、今幸せ?』


[なんやねん急に
まぁ幸せやけど]


『そっか
私も忍足くんがいてくれて幸せ』


[……なんかあったんか?]


『ううん、じゃあまたね』


電話を切ると雨が上がったばかりの空に虹が架かっていた。
























初恋を思い出してちょっとセンチメンタルみたいなの目指したはずなのに途中からなにがなんだか/(^O^)\

文才のなさにへこむw


彼氏が忍足なのは気分です←




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