『ざ、財前くん』
「……おん」
教室で朝練が終わったばかりの財前くんに声をかけると、いつものだるそうな感じで返事をしてくれた
昨日のテスト後、財前くんに消しゴムを返そうとしたら「いらんわ」と突き返されてしまった
だけどそれではなんだか申し訳ないのでなにかお礼をしたくて今朝コンビニで新しい消しゴムとお菓子を買ってみた
受け取ってくれなかったらどうしようという不安の中、私は話を続けた
『昨日のことやっぱり申し訳ないので新しい消しゴム買ってきたの
あとこれはほんの気持ちですがお礼のお菓子です』
「なんや、昨日いらん言うたやろ」
『それじゃ私の気が済まないよ
だから……』
私が俯いて消しゴムとお菓子が入ったコンビニの袋を差し出すと財前くんはまたため息をついて私からコンビニの袋を受け取った
「なぁ
俺、これ食えへんのやけど」
財前くんはそう言って私が買ったお菓子を取り出した
『え、どうしよう……
ごめんなさい!明日違うの買ってくるから!』
「そんなんええわ」
『へ……』
きっと私は呆れられたんだろう
消しゴム借りた上に食べられないお菓子をお礼にあげるだなんて私はどんだけダメなんだ
どうしよう、ものすごくへこんできた
「……善哉」
『善哉……?』
「善哉食べたいんやけど」
『う、うんわかった
美味しいお店探しておごるね』
私がそう頷くと財前くんは「ほな、頼むわ」と言って自分の席に座った
そして私の気持ちを汲み取ってくれた財前くんのために頑張って善哉の美味しいお店を探さなくちゃいけないなと思い私も席についた
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